夕方症候群
痴呆の高齢者が、「家へ帰ります」とか、「お世話になりました」と出て行こうとしたり、故郷の地名を言って、「そちらへ帰ります」というのはよく見る光景です。生まれた家へ連れていったら落ち着いたとか、子どもの頃の故郷の話をしてもらったらよくなったという報告をよく耳にします。痴呆の人は子ども返りするのだと説明されることもあります。しかし、この症状は多くの場合、夕方に見られます。そして、本人のいうとおりに生家に連れていっても忘れていて、それが何かわからないのが一般的です。
1) 医学的にとらえる
この夕方症候群の特徴は、その人の一定の時間、それは人によって違うのですが、大体4時とか5時とか、夕方一定の時間になると「家に帰ります」とか、「お世話になりました」などと言い出す。「これから仕事に行きます」という場合もあります。職業せん妄です。また、急に家族に対して敬語を使ったり、他人行儀になります。このことから、人物誤認と場所や時間の見当識障害があると見なすことができます。
もう一つの特徴は、この症状は普段と違って際だって多弁・多動状態になります。元気いっぱいです。
そして、持続時間は大体30分前後から長い人で2時間前後で、もとの状態に戻ります。
1987年に、アメリカの雑誌に「sundown phenomenon (日没症候群)」というレポートが出たので、アメリカでも同じことがあるとわかりました。