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その論文によると、痴呆の原疾患や使っている薬物とか、身体的な条件との関連性などを調べていますが、特定の要因は見つからず、ナーシングホームに入所した当初の人に多いと指摘しています。

どうしてこの症状が出るのかはよくわかってはいません。ただ、サーカディアンリズムと関係があるのではないかと思います。サーカディアンリズムとは睡眠覚醒リズムの発見から、体内時計(circadianrhythms)があると考えられるようになりました。大体人間の体内時計は外界の物音とか社会的な出来事などをまったく遮断して、閉じ込めておくとおおよそ25時間近いのですが、時計を見たり、杜会的な動向から24時間に修正しています。

Circaというのは“ほぼ”という意味で、dianは“1日”という意味ですから、概日リズムといったりもします。たとえばステロイドは1日のうちで早朝に多く分泌され、日中はすごく少ないということがわかっています。体温や血圧もリズムがあります。夕方症候群がこのような何かの体内リズムの変化と結びついて、軽いせん妄状態になると考えると、この状態は非常によくわかります。人によっては2時頃に出たりすることもありますが、多くは夕方なので、家族は混乱させられます。夕飯の支度をしている最中に「家に帰ります」などと言うのですから。

 

2) さまざまな対応

これに対して、あまりに心理的に思い入れした対応をするのはそれほど意味があるとは思えないことは前にお話ししたとおりです。この症状は、痴呆の人にはよくみられ、特別な問題でないと家族は知るとゆとりができます。

 

 

 

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