ですから痛みの部位や、どのような間隔でそれが起こるかなどを、患者は明快な言葉で医師に説明しなければならないのです。その感覚は痛みというよりも、むしろ圧迫するような性質のものなのかもしれません。「なんとなくいやな感じの痛み」などと患者が説明すると、医師にはその痛みの把握がますます困難になってきて、正しい診断からだんだんと遠ざかる危険もありうるからです。患者が感じることをPOSではS(Subject)としてチャートに記入しますが、そのSの内容が架空のものであると、問題解決が困難になります。
しかし、患者の自覚症は、それが正しく表現されれば、問題解決には非常に参考になります。また、局所の発赤や腫脹や皮疹が見えなくても、患者による痛みの巧みな表現がなされれば、痛風発作前の状態にあることや、帯状ヘルペスの早期発見などもできるのです。