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組織の壊死が起こると、白血球は増し、CRP反応が陽性に出ます。

アメリカでは、最近、心筋梗塞後の不整脈に抗不整脈剤を続けた患者が急死したケースをフォローアップした研究があります。抗不整脈薬で不整脈を止めた症例にかえって急死が起こった症例が多かったという結果が出て、循環器専門医はショックを受けたと聞いています。

私は1999年12月末にボストンのベス・イスラエル・ディコネス・メディカルセンターの外来医療の実際を見学しました。心不全患者に抗不整脈剤のアミオダロンを内服させているうちに、甲状腺機能異常を疑う症状が出たので、この患者の主治医である開業医が内分泌専門医に立ち会い診断を頼みました。開業医はTSHのテストのデータを患者に持たせて、この患者を内分泌専門医に送ってきたのです。私は、なぜT4かT3を開業医がテストしないのかとその内分泌専門医に尋ねたところ、アメリカの現在のマネージド・ケア(MHMの保険会社に管理された医療)の下では、保険会社はプライマリ・ケア医にはTSHの検査しか認めていないからだということでした。しかし、内分泌専門医のところではT4やT3の検査は当然許されています。マネージド・ケアの管理下では、どの段階でどの検査が許されるのかがいちいち決められていて、診察した医師が勝手に複数のホルモンのテストは行えないのだということです。

アメリカでは1983年頃から、医師の好きに何でもテストをするということはできず、診療の段階ですでに制限が加えられています。マネージド・ケア下の医療では、問題解決に何が必須か、何を優先的にすることが許されているかを医師はよく考えて、診断のためのテストや、治療のために薬の処方を出すように強いられています。POSでの問題の解決法にも合理化の概念が必要です。

 

 

 

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