どのようにしてそのデータが集められたのか、それを集めるのに使った方法が正しいものであったのか、直接その事実をチェックできない場合には、少なくともその源が辿れるものかどうかなどがチェックされなければなりません(図3)。
EBMの新たな視点
臨床上の問題解決をするときには、「私の経験によれば…」というのは、かなりの正当性があるにしても、外れることもなきにしもあらずです。病態生理ではこうだとか、解剖生理ではこのはずだ、教科書にはこう書かれているとか、あるいは専門医がこう言ったとかいうことは、必ずしも正しいことではないということを頭に入れておかなければなりません。何といってもいちばん役に立つのは、参考にできる原著論文ですが、はたしてそれが信頼性のあるものかどうかということはEBMの手法をもってすれば解明できるのです。しかし、これには訓練を要します。
福井次矢京都大学教授は、「EBM時代のPOS」として、以下のように要約しています。
「Evidence-based Medicineの考え方は、医療上のかなりのテーマについて質の高い証拠が集積されてきたことと、コンピュータ技術が進歩し、広く普及した1990年代に入って初めて可能となった。
EBMの手順は、
1] 医療上の疑問点の拾い出し
2] 疑問点解決の拠り所となるデータ・文献(エビデンス)の検索
3] 入手した文献の結論が真実を反映しているかどうかの判断
4] 文献の結論を実際の患者に応用してよいかどうかの判断
の4段階からなる。