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周りの誤解や不寛容からくるスピリチュアル・ペイン。それはその社会の健康が試されている印でもあり、そのペインを真摯に受容できたときに社会自体が真の健康を回復できるのです。その意味で、その苦しみには社会が癒され、健康に生まれ変わるための生みの苦しみとしての側面もあるのでしょう。

 

“聖なる”全体性の獲得

 

さて、ここまでHEALTH(健康)、HEAL(癒す)、WHOLE(全体)というつながりを見てきましたが、実はもうひとつ同じ語源から出ている言葉があるのです。なんとそれはHOLY(聖なる)という言葉です。健康と聖なることとどうつながっているのでしょうか。うまく説明できるどうか心配ですが、次のようなわけです。

「自分の全体性を取り戻すことが健康の真意だ」といままでさんざん申してきましたが、実は自己を中心において自分だけで完結してしまってはだめなのです。人間、それほど偉い存在ではありませんし、うっかりそれをやると自分が世界の真ん中に鎮座してヒトより偉い、まるで神様であるかのように勘違いしかねないのです。人間、それほどにエゴのかたまりで、うっかりすると鼻もちならないほど傲慢になりかねません。

本当の自分らしさの発見というのは、そんなふうに自己実現の欲望の限りを尽くすことではなく、本来の自分の姿に謙虚に目覚めることから始まります。自分が自力で生きているわけではなく、生かされている存在なのだ、と気づくことです。そしていつか必ず死ぬ存在です。

 

 

 

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