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生まれることを選べなかったように、死を引き延ばすこともできない。与えられた生と決められた死の間で生きることを許された存在だと気づくことです。

今朝、呼吸をして目覚める保障など何もなかった存在です。なのに今朝、目覚めた。いま、呼吸をつづけている。今日という一日がこの人生に新たにつけ加えられた。思えば思うほど自分の努力や思惑を超えて生かされているいのち、預け与えられたいのちなのです。この私にいのちを与え、私を支え、生かしていてくれる存在に気づくかどうか。気づくとすれば、そこにHOLYにつながる道が備えられているのです。

その気づきは、理屈(あたま)や体感(からだ)で会得できるものではなく、スピリチュアルな次元(こころ)で受けとめられることなのだと思います。いわばスピリットがヒョイと飛び込んできて、ハッとわかってしまう。こんな言い方すると、手品か何かのようですが「スピリットが・入って来ること」、つまり「イン・スピレーション」によるというわけです。

そこに、人間と聖なるものとの接点がある。「神の息を受けて、人は生きる者となった」という聖書の人間理解を見ましたが、人間が人間として人間らしく生きる原点に、スピリットを接点として聖なる方につながるということがあるわけです。聖書的には神ですが、神様と呼ばなくてもいいかもしれません。自然といっても、宇宙といっても、ブッダ、大我、アッラーでもいいかもしれません。とにかくそういった大いなる力に支えられ生かされている自分だということに気づいてこそ、その人のいのちの全体性が初めて完結する、というのです。

 

 

 

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