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4) 夏季の太平洋東側で観測された海水中の二酸化炭素濃度の高い値は、水温変化に依存した熱力学的効果によることが推察できた。

5) 西経160度付近にみられる海水中の二酸化炭素濃度の低い値は、生物活動の光合成により減少している可能性が推察できた。

6) 亜熱帯モード水が形成されている海域で、海洋が二酸化炭素をよく吸収している様子をとらえることができた。

7) 大気中と海水中の二酸化炭素の濃度差(海水−大気)の平均値から、西経145度付近を境に、観測域の西側で海洋は二酸化炭素を吸収し、東側で放出していることが見出された。観測を実施した範囲において海域全体としては、二酸化炭素の吸収源となっていることが推察できた。

 

本事業によって3年間にわたり9航海分の観測データが得られ、上述のような解析結果を得ることができた。このデータは1.2.2項でふれたとおり既に公開されており、多くの研究者が利用可能である。本観測データが、既存のデータおよび今後、篤志観測を含む様々な観測によって得られるであろう観測データと結合することにより、地球環境問題に関する科学的知見の蓄積に貢献できると考えられる。

 

 

 

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