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海水中の二酸化炭素濃度は、東経140度の338ppmvから東経160度で305ppmvまで下降したあと、変動はあるものの東経165度の340ppmvまで急激に上昇した。その後も周期の短い変化を示しながらも全体的に下降気味になった後、西経160度の300ppmvから西経140度の390ppmvにかけて90ppmv近く上昇した。西経140度以東では大気中二酸化炭素濃度を上回り、海洋が二酸化炭素の放出域となった。その後西経120度まで380〜390ppmvと高い値を示した。

 

4.1.8 089E航(平成12年8月)の観測結果

089E航は、平成12年8月に観測を実施した。結果を図4.1-8に示す。航路は日付変更線付近で北緯45度まで北上、亜寒帯海域を通過し、その後、緩やかに南下していった。全9観測航海中、最も北よりの航路であった。

水温は東経140度付近で27℃であったが、東経175度で13℃まで低下した。また、082E航で観測された様な局所的な変化も見られた。東経170度、同179度で、周辺海域より2℃水温の高い海域を通過している。その後水温は西経135度付近の約21℃まで緩やかに上昇したが、西経125度では18℃まで低下し、西経122度で再び2℃水温の高い海域を通過している。

塩分も、全体的にみて水温とよく似た傾向を示し、東経170度、東経179度、西経122度で塩分値が1.5程度上下する海域を通過するなどよく対応していた。

大気中の二酸化炭素濃度は、同じ夏季の観測をした083E航と同様に変動が大きく、観測海域により358〜367ppmvの間で変動し、平均値は364.0±2.8ppmvであった。

海水中の二酸化炭素濃度は、088E航より更に変動が大きく、東経150〜165度、東経169〜175度の海域を除いて大気よりも高い値を示し、海洋は大気への二酸化炭素の放出域であった。その後約50ppmvの変動を繰り返しながら徐々に上昇する傾向を示した。航路に沿って、海水中の二酸化炭素が減少する海域は、082E航、083E航、087E航、088E航と同様、東経160度、170度、西経160度、150度付近であった。

 

4.1.9 090E航(平成12年10月)の観測結果

090E航は平成12年10月に観測を実施した。結果を図4.1-9に示す。航路は、出港後東経173度にかけて北緯39度まで北上し、その後、東進するにしたがって南下をした。

水温は東経140度付近で約26℃であったが、全体的に日付変更線にかけてほぼ直線的に約17℃まで低下した。その後西経150度付近で22℃まで緩やかに上昇し、それ以降東進するにしたがって徐々に低くなり、西経120度では約20℃になった。また、東経155度など数点において局所的に水温が2〜3℃低くなる傾向が見られた。

 

 

 

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