日本財団 図書館


大気・海水の二酸化炭素濃度を較正するための標準ガスとして、日本酸素株式会社製の標準二酸化炭素ガスを使用した。二酸化炭素測定装置による測定は、1時間に1回のサイクルで、標準ガス(4種類を各1回)、大気(2回)、海水(1回)、大気(1回)の順に繰り返し行われる。標準ガスの分析計出力と濃度の関係については最小自乗法で2次曲線の検量線を作成し、大気および海水の試料ガスの濃度を算出した。さらに、補正として以下のことを実施した。

 

●標準ガスの二酸化炭素濃度は、気象庁で「WMO mole fraction scale(1995)」により検定を実施した。大気、海水の二酸化炭素濃度の測定に関する目標精度はそれぞれ0.1ppmv、1ppmvであり、この測定精度を維持するために、船舶に搭載する前後(この間約1年)に検定を実施した。船舶に搭載する前後の濃度変化は平均値で0.1ppmv以内の小さい値であった。また標準ガスの濃度変化が時間経過に対し直線的に生じたものと仮定して、各航海開始日における標準ガスの二酸化炭素濃度の補正値を算出した。

 

●測定のシーケンスは、1時間に1回のサイクルで、標準ガス・大気・海水・大気の順に繰り返し行われる。初めの標準ガスの測定から、次のサイクルの標準ガスの測定までに、1時間の時間経過があり、分析計の感度変化(ドリフト)が生じることがあるため、分析計の感度変化は時間経過に対し直線的に生じたものと仮定して次の補正を行った。各シーケンス前後の標準ガスの分析計の出力変化を、時間経過に対して直線的に内挿して、シーケンス内の各測定時刻に対応する標準ガスの出力値を計算し、これにより標準ガスの二酸化炭素濃度の検量線を作成して、1シーケンス中の大気と海水の二酸化炭素濃度を算出した。

 

●大気・海水の二酸化炭素濃度が標準ガスの濃度範囲を超える場合は、作成した検量線の外挿値により算出した。

 

●大気の二酸化炭素濃度については、アナログチャートの記録を元に、本船の排煙等による異常値の有無を確認し(図2.3.3-1)、前回測定分の大気測定値に対して、3%以上大きな値を示した場合、データを削除をした。削除された大気の異常値は取得データの2.5%であった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION