日本財団 図書館


(5) 観測中の注意事項

本観測システムには、搭載船舶ならびに観測システムの安全確保、観測データの保護と分析精度維持を目的とした種々の自動制御の安全対策を組み込んできたが、観測システム自体に起因しない運用上の注意事項として、以下の事象の対応が必要であった。ただし、これらの事象はいずれもその内容が軽微であり、発生頻度が全データの3%以下と非常に少ないため、本観測においては、観測結果に大きな影響を与えるものではなかった。また、それら事象への対応策については、「2.5 今後の更なる無人化への提言」に後述する。

●観測に使用できる電気容量の不足

観測システムを改良していく上で、様々な機器類を装備してきた結果、観測システム全体として消費する電気容量が大きくなり、観測開始当初に本船より提供を受けた電気系では不足することがあった。

●供給海水元流量の減少

観測用海水は、本船シーチェストからエアコン冷却用に配管されている海水ラインを分岐して観測システムに導入していたが、その大元である給水管での圧力が低下することにより、観測システムに供給される海水量が低下することがあった。海水流量調整器はその設定流量よりも供給海水元流量が大きくなる範囲では調整できるが、調整目標設定流量よりも供給海水元流量が小さくなる範囲での調整はできなかった。

●観測システム設置場所(エアコンユニットルーム)の振動

本観測システムを設置したエアコンユニットルームでは、船の機関による振動のほか、室内の大型コンプレッサーの作動に伴う振動がある。NDIRなどの精密機器類には、防振処理を施したが、まれにNDIRの出力に振動によるノイズが生じることがあった。

●観測システム設置場所(エアコンユニットルーム)の室温変動

本船エアコンユニットルームは空調されていないため、室温の変化が生じる。例えば、080E航では分析機器近くで測定した航行中の最低最高室温がそれぞれ18℃、38℃を示した。(本観測システムのNDIRは、その全体を断熱ケースにより保温するとともに、温度変化の影響を取り除くためにNDIRの較正を1時間毎に実施していたため直接的な影響はなかった。)

 

2.3.3 本観測システムによるデータの処理・解析時の必要作業

(1) 大気・海水の二酸化炭素測定のデータ処理

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION