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6. 総括及び今後の課題

 

・本調査のダイオキシン類の分析は、「検出下限値の確認」、「二重測定による精度管理」、によって精度よく測定が行われた。

・本調査の鉛210法を用いた年代測定は、既往調査である「平成10年度 ダイオキシン類コアサンプリング調査(年代別ダイオキシン類測定)」(環境庁)の調査結果と比較して、概ね一致の傾向が見られ、年代の特定が精度よく行われた。

 

(1) 総括

・本調査による東京湾の表層のダイオキシン類は、既往調査と概ね同等の濃度範囲であり、湾内の中央部に少ない既往調査結果を補完し、東京湾全域のダイオキシン類水平分布が明らかになった。

・本調査による東京湾の鉛直濃度は、表層の値よりも高い濃度のダイオキシン類が底泥中に堆積していることが判明した。鉛直方向のピーク時の年代は、St.1〜3(浦安沖、千葉港、東京港沖)で1962〜1980年、St.4,5(木更津港、横浜港)で1999年であった。今後、人為的な浚渫、漁業等の底泥撹乱には注意が必要であることが認められた。

・ダイオキシン類の粒径別の挙動は、全体の構成比のうち85〜92%が75μm以下の粒子に含まれていた。底泥のダイオキシン類を除去する手法等の検討に当たっては、粒径の小さな浮遊物に吸着したダイオキシン類の除去の技術検討が、ひとつの方策として価値があると考えられた。

 

(2) 今後の課題

・ダイオキシン類の挙動は、生物学的利用可能性(bioavailability)で考えた場合、底質中に大量に含まれても生物学的利用可能性が小さければ、一般的には問題が少ないと考えられている。人間を含めた生物圏の関係を検討するためには、次の検討課題として、生物と底質との関係を調査する必要が認められた。

・底泥のダイオキシン類を除去する手法等の課題としては、粒径の小さな浮遊物に吸着したダイオキシン類の除去の技術的検討の必要性が示唆された。具体的な調査方法としては、凝集沈殿によってどの程度除去できるかなどの検討課題が示された。

 

 

 

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