4.3.4 主成分分析によるダイオキシン類の起源推定
主成分分析は、多次元のデータを、本来持っている情報の損失を出来るだけ少なくして、合成変量に集約する手法である。ダイオキシン類は非常に多くの異性体が存在するため、試料ごとに評価することは非常に困難であることから主成分分析の活用は有効な手段と考えられ、ダイオキシン類のデータ解析に使用されている。
本調査では、底泥中に含まれるダイオキシン類の起源推定を行う目的で、表層泥及び柱状泥の全異性体の調査結果について主成分分析を実施した。計算は統計ソフト(エクセル統計 2000 for windows, (株)社会情報サービス)を用いた。なお、特定の異性体濃度が高い場合、主成分分析に与える影響が大きくなるため、相関行列を用いて主成分分析を行った。また、主成分の抽出基準としては、固有値が1.0以上であることを目安とした。
実測濃度を用いた主成分分析では、異性体毎の濃度の大小による因子が含まれやすく、ダイオキシン類の起源の推定等を検討することは難しいことから、ダイオキシン類全体(PCDDs+PCDFs)に対する組成比を用いて主成分分析を行った。主成分分析結果は表- 4.8に示すとおりである。主成分分析による特徴的な化合物(主成分負荷量が大きい化合物)から、ダイオキシン類の発生源に関して報告されている異性体組成と比較して、各主成分を解釈したところ、第一主成分は大気及び降下ばいじん(一部PCP※の寄与を含む)を、第二主成分はCNP※の影響を表現している合成変量であると推定された。