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II-5-2. 接遇等の現状と問題点

1] 高齢者や障害者等の旅客船利用に事前連絡なしで対応している

2] 出港、入港等の時には乗務員が忙しく十分な接遇・介助が実施できない

3] 初めての方の場合、マニュアルがないのでどのように介助してよいかわからないケースがある

4] 旅客船事業者側に高齢者や障害者等はあまり旅客船を利用しないといった先入観があり、接遇や介助についての知識が少ないといった問題点もある

5] フェリーの場合は、車両区域に車両に乗車したまま乗船してもらい、船員が迎えに行っている。

 

高齢者や障害者等が旅客船を利用する場合に、事前連絡なしでも対応していた※1。しかしながら、出港や入港時には乗務員が忙しく十分な接遇・介助ができないので早めに旅客船ターミナルに来てほしいといった意見が多かった。

出港や入港時※2については、法律で定められた最低の人員数で運航している事業者が多いことから乗客の接遇にあたれるスタッフがいないといった状況になっている。ある事業者では運航人員を減らすことを目的にバリアフリー設備の整備を行っていた。バリアフリー化は確かに向上しているが、乗客の接遇にあたれる乗務員は減員されており、バリアフリー施設で対応できない場合には十分な人的介助が行えない可能性もある。

鉄道に見られるように、海上交通においても到着地の旅客船ターミナルに対して、出発地の旅客船ターミナルからの事前の情報連絡等を実施することが求められる。

また前項で取り上げたマニュアル整備が進んでいないため、障害の種類によってはどのように対応してよいかわからないといった問題が現場で発生している。

こうした高齢者や障害者等への接遇に対する意識が必ずしも高くない要因の一つとして旅客船事業者側に高齢者や障害者等はあまり旅客船を利用しないという先入観があったという指摘をしている事業者もあった。

フェリーの場合は、車両のまま乗船してもらい車両区域に船員が迎えに行き介助するというケースが多かった。

 

※ 鉄道における接遇対応事例

※1. 鉄道においては、事前連絡なしでも、対応は可能であるが、身体障害者等がより円滑に利用できるようにするため、できるだけ事前連絡をしてもらうように定めている。

※2. 鉄道においては、乗車駅から乗換駅及び下車駅に対して、身体障害者等の利用者の到着時刻等に関する情報連絡を実施している。

 

 

 

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