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しかしこれはSTS利用資格のない人には、公式なサービスとしては認められていないものである。

一方でSTS有資格者は車両が通行可能であれば自宅ドアの前で乗降できる。有資格者の24%はドアの前までの送迎サービスを利用している。しかし、STS有資格者利用者のおよそ1/3しか、ドアの前での乗降サービスが可能であることを知らないことが明らかになっており問題である。

定時性の評価については1997年の時と比べて1999年調査では「時間通り」に到着したと回答している人が80%を超えて1997年時の評価を上回った。同時に5分未満の遅れ、5〜15分の遅れについては減少している。

コールバックシステムについては評価は高いものの、コールバックがある前に外に出て待機しているお年寄りもいるので、冬季はコールバックを待ってから出るよう呼びかけている。

表5-4-4-5に利用者評価における主な内容を整理した。

 

表5-4-4-5 利用者評価の主な点

・利用者の平均年齢は77歳にもかかわらず、新たな予約システム、テレマティクスに対する受入れは非常に高い。178人からの全般的な評価は、10段階評価で8.8であった。

・1999年5月に金銭的なインセンティブ(これまでのSTS利用料を医療目的に限り値上げしたこと)を導入した後では、2つの自動予約モードが約25%に達する勢いであった。カード予約機能が、磁気カードに代わってICにするなど、まだ改善の余地があることを考慮すると、結果としては良好と判断できる。

・このシステムのコンセプトへの、利用者の満足は非常に高い(9.7ポイント)。ドライバーが最も重要な成功の要因と考えられ、「ソーシャルクラブ」的な雰囲気作りに貢献している。

・利用者は現在も増え続け、月間でおよそ5,000トリップに近づきつつある。また、1台1時間あたりの乗車人数は7人である。

 

以上のように、プロジェクトの評価は、ユーザー評価、経済評価により行う。3年間の運行に関する継続的な評価も、SAMPLUSにおいてさらなる有効性が認められ、SAMPOプロジェクトから肯定的な評価を得るに至っている。

フレックス・ルートの肯定的な評価に従って、市ではこのシステムを都心部の主要部分へ拡張することを決定している。フレックス・ルートのマスタープランによれば、今後10路線の開設を計画しており、30〜40台のバスが必要になる。年間2ルートを目途に拡張する予定である。スウェーデン国内の他のいくつかの都市でも、すでに類似したサービスの導入が行われ、一部では計画中である。

高齢化が進む社会において高齢者が使える交通を提供する、このコンセプト及び支援技術は、その適用マーケットの大きさから言えば、非常に大きなポテンシャルを持つ。また、この考え方を応用して、すべての人やその他の特別なニーズのあるユーザーのための、さらに新しいフレキシブルな交通サービスを発展させる可能性がある。

図5-4-4-8に示すように、STSの利用資格を持つ利用者で比較してみると、フレックス・ルートの利用者数は当初はSTSよりも下回っていた。しかし次第にシステムが周知されてきた1997年5月にはその数が逆転した。波はあるものの、STS利用者がフレックス・ルートの利用へと移行していることは明らかである。これによりタクシー相乗り型のSTSのコストが低減する効果が現れている。

 

 

 

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