日本財団 図書館


表5-4-4-1 フレキシブルな交通システム開発にあたり目標とした点

・サービスの削減は最小限に抑えつつ、市のSTSにかかるコストを削減する。

・STSの資格を有しないが依然として公共交通の利用が困難な高齢者のモビリティを改善する。

・最新の交通テレマティクス機能を使い、DRTの運行および管理コストを削減する。

 

表5-4-4-2 フレキシブルな交通システム実現のために考慮した点

・ローフロアで完全にアクセシブルな定員12〜24名のミニバス。

・2ヶ所の決められた起終点から決められた時刻に出発する(それぞれの方向に30分または60分ごとに出発)。

・乗車、降車の要望に応じて、起終点間は完全にフレキシブルとする。

・STS有資格者のためのドア・ツー・ドア性と数多く設置した「ミーティングポイント(停留所のようなもの)」によりSTS有資格者以外の利用者のミーティングポイントまでの距離が150m以下になるようにする。

・親切なドライバーによる丁寧な対応。

 

iii) 目標達成のための運行支援技術

新しい交通コンセプトに対応した支援技術として、従来からSTSコールセンターで使用されていた予約・配車システムのPLANETをフレックス・ルート版に改良したものが開発された。具体的には、PLANETに、効率的な運行を可能にするための以下の機能が付加された(表5-4-4-3)。従来のシステムは、予約時間を決めても、途中の道路事情や乗降者の事情により、利用者宅への到着予定時刻がずれることがある。そのため利用者はいつ到着するかわからない、車両を待つことになる。高齢者は几帳面なので時間前に外で待っていることも多く、厳寒のスウェーデンでは、遅延は極力避けなければならない。そこで、途中の乗降客の予約状況等により予定時間に遅延が生じる場合には、前もって利用者宅に自動で電話連絡が入るシステムを導入した。これにより予定時間の直前に時間変更を利用者に伝達することが可能となった。ただし、コールバックのある前に外に出てしまう人もあり、遅れないようにという高齢者の心理的特性とのマッチングが課題になっている。

 

表5-4-4-3 PLANETに付加された機能

・ピックアップ予定時刻の15分前に通知される自動トリップ案内(コールバック)を採用。これにより、より幅広いウィンドウタイム(予定時刻より前後にずらせる範囲のこと)を可能にし、高い生産性を得ることが可能。利用者はバスの接近が分かり外で長時間待たずに済む。

・自宅およびGSM (市中心のショッピングモール)双方からプッシュ電話による自動予約が可能。とりわけ自宅からの予約は、対話型応答装置(IVR: Interactive Voice Response)により極めて簡単な対話で完了する。

・カードリーダー予約機能は、4つの主要な目的地が入力されている。利用者はクレジットカードのようなカードを通し、帰りのトリップのボタンを押せば予約が入る。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION