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この決議と同時に同センターの設立が決定された。国会決議の考え方は、障害者のための特別な法整備を行うよりも、情報の提供および公共団体と障害者団体の協力により、彼らが置かれた状況を一般のレベルに広く知らせることが大切であるというものである。

 

c. デンマーク障害者団体協議会(the Danish Council of Organizations of Disabled People)

デンマーク障害者団体協議会は、全国レベルで活動する29の障害者団体の連合組織であり、国内の障害者問題に関しては最大の擁護組織である。主たる目的は加盟団体の利益を擁護することであり、教育や雇用の問題など重要な施策に関しては、政府との窓口として交渉に臨む役割を担っている。また、政府や地方自治体が障害者の意見を取り上げる際には、適切な担当者を派遣するなど、様々な施策づくりにおいて貴重な役割を果たしている。全国障害者協議会には7名の代表を派遣している。組織的には15の県、それぞれに支部を置き、加盟する障害者団体からは、中央の事務局にそれぞれ2名の代表が派遣されている。議長などの要職は選挙により選ばれることになっている。

関連諸組織の関係図を次頁3]に示した。また、次頁図の交通に関連する部分のみを取り出したのが、下図2-2-2-1である。

デンマークでは国のレベルで交通に関与するのは交通省である。アクセシビリティの推進に関しては、政策的な枠組みを国が決定するので、地方自治体が大きなイニシアチブを発揮する位置付けにはなっていない。実際には事業者であるコペンハーゲンのHTが、リーダー的に事業を行い、その動向に国内の交通事業者が影響を受ける流れがあると考えられる。例えば、HTが運営するスペシャル・トランスポートである、ハンディキャップ・サービスは、国が全国に同様のサービスを普及させるための法律を作る際のモデルとなったといわれている。全体の調整機関としては、総務省があたり、障害者機会均等センターや障害者団体等が諮問機関としての役割を果たしていると考えられる。

 

図2-2-2-1 交通のアクセシビリティに関連する行政組織関連図

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