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(2) デンマーク

1] 政策の方向性

デンマークにおける障害者政策の基本原理は、社会において障害者が公平に扱われる事を保証し、社会への統合をすすめることである。障害者のニーズを擁護すべきであるという、立法の精神により、全国レベルの障害者協議会等を設置し、社会のあらゆる分野での障害者に対する公平な扱いを保証するための施策を展開している。

全国障害者協議会(The National Handicap Council)は、1980年の行政改革に合わせてされた。この行政改革は公的支援、サービスなどが中央から地方の県、市町村単位の自治体に移譲された改革である。

中央政府の政策の計画および立法化に対して消費者が与える影響の原理を反映した構成となっている。障害者施策は単に社会サービスの一環ではなく、国家レベルの施策として位置づけられている。国レベルの横断的な施策のため、分野、領域を問わず障害者が直面する問題が解決されるしくみといえるが、その分、各省庁の立法および実施に関する責務が重いと言える。障害者のある人に対して、実際の財政支援等を行うのは地方自治体である。

また、障害者の機会均等に関する国連の標準規則については、全国障害者協議会の活動計画において高いプライオリティを与えられた施策である。

障害者のための機会均等センターの設立は、こうした施策の実践に主眼が置かれている。省庁や行政の境界を越えて活動する役割が与えられている。同センターの主たる目的は、障害者の生活に関係する様々な状況について、国内外に知らせ、また、情報収集すること。障害者に対する差別事例などを把握することである。年次報告レポートが出版されている。

 

2] 諮問機関等

a. 全国障害者協議会(The National Handicap Council)

全国障害者協議会は、障害者団体から派遣された代表者で構成されている。さらに、自治体の教育、保健福祉の担当者などが参加している。また、必要に応じて住宅、交通、通信、雇用の専門家が加わることもある。障害者の生活に影響を与える社会的な状況の調査および評価が主な任務であり、こうした情報をもとに障害者のための施策に関する提言等を行っている。行政が行う障害者施策のほとんどは、この協議会に諮問して実施されている。

 

b. 障害者のための機会均等センター(Equal Opportunities Center for Disabled Persons)

障害者のための機会均等センターは、1993年の春に、デンマーク国会は、すべての公共団体および民間企業は、障害のある人も健常者と同じく公平に扱われなければならないという原理に従うべきという勧告決議を行った。

 

 

 

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