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a. 障害者の権利委員会(DRC)

政府により設置された独立機関である障害者の権利委員会(DRC: Disability Rights Commission)は、主な目的を以下の点に置いている。まず、障害者に対する差別を撤廃すること、そして障害者にとってのあらゆる面での機会均等を促進すること、さらに、障害者に対する差別のない扱いについて、具体的な良い実践例を奨励していくことである。また、DDAの実現に向けて、政府に対する諮問を行う役割が与えられている。

 

b. 全国障害者会議(the National Disability Council)

全国障害者会議は、DDAにより設置され、立法に関する諮問を行う独立した機関である。北アイルランドもDDAのもと、同様の会議を設置している。諮問権限は省庁のわけ隔てなく行うことができ、雇用、教育、保健、交通の分野などが主たる対象となる。また、他の諮問機関からの意見集約も行う。メンバーの半数以上は障害者団体などから参画する当事者である。

 

c. 雇用および訓練における障害者のための諮問委員会(ACDET)

雇用および訓練における障害者のための諮問委員会(ACDET: the Advisory Committee for Disabled People in Employment and Training)は、障害者の雇用に関する全国諮問会議に代って設置された組織である。部分的に、その活動内容は前出の全国障害者会議に引き継がれている。12名の委員は、雇用主や労働者の協会、雇用のための訓練支援事業の実施担当者等で構成されている。

 

d. 障害者交通諮問委員会(DPTAC)

障害者交通諮問委員会(DPTAC: the Disabled Persons Transport Advisory Committee)は、1985年の交通法(Transport Act 1985)に基づいて設置された委員会である。障害者の交通と移動のニーズに関する諮問を政府レベルで行う役割を担っている。メンバーは20名で構成され、その半数は障害者の当事者である。また交通事業者の代表や技術者などの専門家を含んでいる。

関連諸組織の関係図を次頁3]に示した。また、次頁図の交通に関連する部分のみを取り出したのが、下図2-2-1-1である。

地方自治体は建築物、交通、住宅に関与するとともに、国レベルでは同じくDETRがこの3つの要素全てに関与する。国レベルではこの3つの要素に関連する部門が統合されているため、アクセシビリティに関する政策を関連付けてコントロールできる。特に、交通に関してはDPTACが位置づけられていることから、具体的な諮問や改善技術の提案が行える仕組みになっている。全体の調整機関としては、教育・雇用省がそれにあたるが、横の連携を重視して、省庁間障害者対策連絡会が設置されている。また、交通以外の障害者の権利や特に雇用に関する問題は、全国障害者協議会、障害者の権利保護特別委員会、ACDETなどが諮問活動、権利擁護活動を行う。

 

 

 

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