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2-2 訪問国の政策概要

(1) イギリス

1] 政策の方向性

イギリスでは、政策的な目標を障害者の社会参加においている。そのため特に、教育を受ける機会の均等、就労のための訓練および就労の機会均等、必要なもの・サービス・建築物・その他施設へのアクセス、社会的ケア、支援を受ける機会を提供することが主たるテーマとなっている。

国家的なグローバルプランとして障害者施策を推進するため、省庁間の連絡組織を設置し、定期的に各省庁の代表者が参加して会合がもたれている。

また、障害者に対する差別を撤廃する事が政策のカギとなっており、政府レベルのタスクフォースの一環として、障害者の権利委員会(Disability Rights Commission)の設置など、障害者の市民権の保証について取り組みが行われている。1995年の障害者差別禁止法(DDA: Disability Discrimination Act)、その後1997年の障害者の権利保護特別委員会(The Disability Rights Task Force)の開始等により政策の具体化が進展している。市民権に関わる事項として、例えば、どのような人を差別から守るべきか、障害の定義とは何か、障害者の生活領域でどのような部分を法律によりカバーしなければいけないか、といったことが1999年までにとりまとめられている。

こうした取り組みにより、2004年から、DDAに規定されたサービスの提供者は、サービスの利用に際しての障壁を取り除かなければならないことになっている。法律に対応しなければならないサービス提供者のために、障害者アクセス権に関するアドバイスサービス(The Disability Access Rights Advice Service)を実施し、電話や手紙による相談活動を行っている。

DDAにより、政府は障害者の公共交通の利用を支援するための最低基準を設けることが可能となった。最初のアクセシビリティに関する規則は、1999年1月1日以降に新規導入される鉄道車両に対して適用された。さらに、タクシーおよびバスに関しては、業界団体等との協議(consultation exercises)を行っており、タクシーは2002年から2012年、1階建て大型バスは2000年から2015年、2階建てバスは2002年から2017年に規則を適用していく予定である。これらの実施年限は車両の耐用年数を考慮してきめられたものである。駅施設等については、DDAのPartIIIによりカバーされる。

 

2] 諮問機関等

交通事業者等の団体以外に、障害者当事者団体等との協力関係が築かれている。以下の団体から諮問等を受け、その内容が施策に反映されている。障害者団体、障害者の雇用に関連する団体、それぞれの分野(就労、教育、交通など)の専門家が加わったこれらの組織は、政策レベルの提言から、小さな技術的問題の解決方策まで、包括的に調査、研究、提案等を行っている。

 

 

 

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