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イギリスではボランティアグループ、チャリティー組織などが同様の役割を担っている。

スペインでは、国の社会サービスと地方自治体の支出によりサービスが運営されている。

チェコでは、財源の大部分は国家の負担となっている。

フランスではサービスの提供の規模が拡大するに連れて、財源確保が課題になっており、現在ではいくつかの組織が助成に関与している。地方自治体はもちろん、教育省、労働省、国民保険基金、などがそれにあたる。また政府からの直接的な補助として、サービス計画の策定費用補助、車両購入費補助がある。パリ市では行政がアクセシブルな新車の購入費補助および既存車両の改造費補助を行っている。

スウェーデンでは、STSのコストが政府、地方自治体、ユーザーの3者により負担されている。中央政府の負担はおよそ30%、ユーザーの負担は一般の公共交通程度であるから、大部分は地方自治体の負担である。

デンマークにおいても状況は類似しており、地方自治体は全コストのおよそ85%を負担している。

各国のスペシャル・トランスポートに対するの需要の将来的な予測では、カナダ、チェコ、デンマーク、フランス、スウェーデン、オランダの各国は、増加を見込んでいる。しかし、過去に増加したほど急激な勢いでの増加はないものと予測されている。多くのサービスは地方自治体の主導により実施されており、きめこまかなニーズを反映して、サービスの提供数は微増すると考えられるが、何年か経た時点では増加傾向に歯止めがかかり、減少する国も出てくると考えられる。それは、以下の3点の理由による:

i) 障害者だけでなく、高齢者、さらに学生などを含めて利用者層の統合化が促進されること、

ii) メインストリームの公共交通におけるアクセシビリティの向上、

iii) 予算の削減が進みサービスの提供数も減少すること、である。

すでに、イギリスやドイツなど一部の国では、こうした傾向が明らかになりつつある。すなわち、公共交通のアクセシブル化により、これまでSTに頼らざるをえなかった人が、公共交通を利用するようになっている。ただし、これらの国でも重度の障害者等は依然としてSTで対応する必要があるという認識である。ドイツではこうした傾向にさらに、ST分野への予算の削減が明らかにされている。ノルウェーやギリシャも同様の傾向にある。

 

 

 

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