日本財団 図書館


4] スペシャル・トランスポート

a. 各国のスペシャル・トランスポート・サービス実施状況

スペシャルトランスポート(ST)は国によっては、アクセシブルなタクシーと重複している場合もある。1985年と1995年時点のサービス実施数に関するデータ(表2-1-3-5)を提示できたのは、4ヶ国に過ぎない。特にカナダとノルウェーでは、古くからこうしたサービスが行われている。

ノルウェーでは主として地方自治体が、地元のタクシー会社に委託してSTサービスを提供している。約400の自治体でSTサービスを実施していると考えられる。このデータを発表した時点でノルウェーの自治体数は435なので、ほとんどの自治体でサービスが実施されていることになる。

イギリスでは1985年当時のデータはまとめられていないが、STサービスはすでに実施されていた。

フランスでは、1985年比較して10年後にはおよそ30%実施数が増えている。

年間トリップ数に関するデータが整理されているのは、カナダとスウェーデンのみである。スウェーデンではこの10年間でトリップ数が27%増加している。1980年(全ての自治体がSTSを開始した年)の時点で人口の3.5%だったSTサービス利用有資格者は、1991年には5%に増加し、2000年時点では4.6%とされている。一人当たりのトリップ数は変わっていないので、トリップ数の増加は、有資格者の増加によると考えられる。カナダもサービス実施数、トリップ数ともに大きく増加している。

デンマークのトリップ数は、利用者一人当たりが年間平均30トリップ利用するデータから算出したものである。全体の7割が10km以下の短距離の移動である。人口のおよそ1%がサービス利用有資格者と考えられる。

オーストリアのデータは、ウィーン市内の通勤、通学のトリップに限ったものである。市内の利用有資格者はおよそ5,500人とされている。

フィンランドでは、ST利用有資格者の数が把握されている。1985年で12,460人だったものが、7年後1992年では36,741人に増えている。一人が1ヶ月に利用できる回数は18トリップと決められているので、これをもとに算定すれば、年間でおよそ800万トリップ行われている事になる。

これらのサービスの全般的な概要としては、サービスの利用目的が限定されていないこと(ウィーン除く)、利用料金は徴収するがメインストリームの公共交通と同程度ということが1つの目安になっていることである。

 

b. サービス実施に係るコスト負担

運行財源の不足は自治体により補助される場合が多い。ただし、ロンドンのダイアル・ア・ライドのように中央政府が財源を負担している場合もある。

デンマークおよびノルウェーでは、地方自治体がサービス実施の財源を負担しているが、中央政府からの財源交付が行われているので、国レベルでも間接的な補助が行われているといえる。

ドイツでは福祉組織が助成に関与している。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION