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(3) GMDSSとインマルサット

GMDSSでA3水域を航行する船舶に装備を要求されるインマルサットの設備には、上に述べたインマルサットAの他に、将来の標準Aの代りとしてのインマルサットBと、更にインマルサットAよりもより簡単な全指向性の空中線を使用するインマルサットCがある。また、それらと組合わせて使用するものに、高機能グループ呼出(EGC)受信機と静止衛星用L-バンド非常用位置指示無線標識装置(EPIRB)がある。

 

(4) インマルサットAとインマルサットB船舶地球局

インマルサットB船舶地球局は、インマルサットA局の機能を引継ぎ、デジタル音声などのデジタル通信技術を使用した無線設備であり、テレックス電話、FAXのノイズの少ない安定した通信が可能となった。また、装置にオプションとして、モデム・インターフェース・ユニット(MIU)を組込み、装置にパーソナルコンピュータを付けることにより、通信スピードが最大9.6kbpsのデジタルコンピュータ通信が可能である。オプションでハイ・スピード・データ(HSD)を組込むことにより、更に高速な(最大64kbps)データ通信が可能である。HSDを付けることで、画像データや大容量のデータをすばやく送ることができる。現在の新造船では、殆どがインマルサットBの無線設備を装備するようになっている。

GMDSSでは、現存するインマルサットAでは、SOLAS条約第4章第4規則の規定にある“陸上から船舶向けの遭難警報を受信すること”という規定を満足しない可能性がある。これは、現在のところ船舶への個別呼出しが主体であり、ある海域の全船舶一斉呼出しが必ずしも可能ではなく、このため後述するEGCの機能が必要となる。したがって、この要件を満たすにはインマルサットのシステムで解決するか、EGCの併用装備、又はインマルサットA自身にEGC的な機能を持たせるなどが必要となる。

インマルサットAにはクラス1から3までの種類があり、そのうち、クラス2の複信の電話並びに単信の電話と電信の受信が可能な装置は、電信の送信ができないのでSOLAS条約適用船のGMDSS用の装置としては適さない。クラス1の複信の電信と電話並びに単信の電信と電話の受信が可能な装置及びクラス3の複信の電信と単信の電信受信が可能な装置のみが対象となっている。すなわち、GMDSS用のインマルサットの装置は少なくともテレックス(直接印刷電信)の送受信が可能でなければならない。

無線設備規則ではインマルサットC及び高機能グループ呼出受信機を含めて、第40条の4に性能基準があり、また、その条文に基づく告示で細かい規定がなされている。

 

 

 

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