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(5) インマルサットCの船舶地球局

インマルサットC船舶地球局は、原則として無指向性の空中線を使用する軽量、小形の送受信装置で、600bps (ビット毎秒)のテレックスを主とした通信がなされ、音声による電話通信はいまのところ不可能である。このような装置は、インマルサットの設立の当初より、小形の船舶用としてその開発が考えられていたが、その需要の動向がいまひとつはっきりしない点もあり、のびのびになっていたものである。しかし、遭難通信という観点からみれば、むしろ好ましい装置であり、GMDSSの審議の進展とともにその開発が進められた。GMDSSでは、インマルサットA又はBと同等の扱いを受けており、日常の利用を別にすれば、A3水域用のインマルサット装置としては、これを備えておけばよい。

このインマルサットC装置は、1985年にその技術開発モデルがインマルサットによって開発された。その基本性能は表2・7にあるように受信性能指数であるG/Tとしては-23dB/Kで、これにより安定台なしの0dBiの無指向性空中線が使用できる。この局は、1,530〜1,545MHzと1,626.5〜1,646.5MHzを5kHz間隔で送受信できる。さらに、後述するEGCの装置との関連で、クラス1から3までの三つの種類の装置がある。クラス1は、メッセージの送受のできる基本的なインマルサットCの装置で、EGCとは無関係な装置である。クラス2は、メッセージの送受信のときの受信はメッセージとEGC装置とが切換えで使用できるもので、GMDSSの装置としては不適となる場合もあると考えられる。クラス3は、独立したEGC受信機をもってメッセージの送受信とEGCとが互いに独立しての動作をすることのできるものである。無線通信機としてのその他の性能を示すと、送信のEIRPは、14±2dBW、変調方式は、BPSK(二位相シフトキーイング)(1200シンボル/秒で、符号化率1/2の畳込み符号を使用し、誤り訂正符号も使用)である。

 

 

 

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