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また、パレットを小型とすることでゴミを沢山溜め込まないという効果も挙げている。本船から出る廃棄物についても営業の段階で分別収集を依頼し協力いただいている。

パレットで集められた廃棄物は処理場に運ばれ、ここで廃棄物担当の専従員により再度チェックを受け、分別ミスが除かれる。鉄・アルミ等のスクラップは専門業者に引き取られ、工場内で焼却できる廃棄物については、ダイオキシン対応焼却炉で焼却される。

 

5.5.2 ビルジ処理システム

本船から出るビルジ(含油排水)は、地域により異なるがトン当たりの引取処理費用が概ね12千円〜15千円である。修繕規模によっては年間経費が1千万円を上回るなど、環境対策上の大きなコスト要因となっている。船舶の排出基準値は油分15ppm以下と規定されているが、修繕ドックは陸上施設の扱いとなるため基準値は5ppm以下とされている。造船所内の施設により油分を基準値以下とすることができれば、ビルジ処理の適正化と大幅なコスト削減が達成できる。

三菱重工業(株)神戸造船所の開発した「バイオによる含油排水処理システム」は、微生物の作用により油分を水と二酸化炭素に分解するもので、船田産業(株)が総代理店として販売を担当している。

既に(株)神田造船所において本システムが実際に稼働しており、船舶廃油に適したバイオ株の培養等により基準値以下の排水とすることが実証されている。本システムの導入により同社ではビルジ処理の年間経費が100万円以下となるなどの成果を挙げている。

なお、別添資料として同システムの導入に係るコスト試算、法的手続きその他関連資料を添付したので参照されたい。

 

5.5.3 廃棄物焼却炉

平成14年度ダイオキシン排出規制強化に伴い、造船各社は一つの選択を迫られることとなった。選択肢は、1]現在保有する焼却炉を改造し規制値をクリアする、2]規制に適合した焼却炉を新規に取得する、3]自社内での廃棄物焼却は取りやめて産廃業者に完全委託する、の三つである。

1]の改造は実際には難しいと思われるので、現実的な選択肢は2]と3]になる。2]はイニシャルコストは掛かるが将来的なランニングコストは安く、3]はその逆であり、選択は経営者の判断に委ねられることとなる。

ここでは2]を選択した場合の参考として当会会員企業の製造するダイオキシン規制対応焼却炉について紹介する。

なお、別添資料としてこれら焼却炉の導入提案書を添付したので参照されたい。

 

 

 

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