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1.6 品質管理

1.6.1 一般

品質管理とは、船主に対して船としての最終品質を保証することであり、当初計画された性能、寸法、容量、強度など、船体は勿論のこと、諸艤装などすべての点で仕様書通りに建造することである。良質の船を船主に供給することによって信用を高め、その後受注が増し、操業を安定させ、経営の基盤を強化させることになる。

もしも、船に品質の点で欠陥があった場合は、造船所の技術水準を疑われ、信用も失うことになる。そればかりか欠陥の種類によっては、船の安全上に重大な結果を招くことにもなる。

そのためにも、造船所もその実情に即した品質管理体制を設けて、品質管理活動を行うことが重要である。

品質管理活動は、まず品質のよい材料の入手から始まり、加工については、高い品質の部材を造り・加工精度を高め誤作が生じないことである。そのためには社内検査を行うことが必要である。この社内検査は悪い品質のものを摘出することではなく、悪い品質のものを出さないようにする予防処置であると考えなければならない。

わかり易くいえば、品質管理活動は、悪い品質のものを摘出することでなく、悪い品質にならないようにすることである。

品質管理活動で特に重点をおくべき項目は次のとおりである。

(1) 無理のない工程管理の確立。

(2) 作業標準の整備と適切な改訂。

(3) 精度品質標準の確立。

(4) 社内検査による自主管理の推進。

(5) 品質管理担当者による迅速な問題点の解決とそのフィードバック。

(6) 品質管理担当者による品質パトロールの実施。

(7) 溶接品質確認のための非破壊検査の実施。

(8) 品質の定量評価をふくむ社内検査による品質の最終的な確認。

品質管理活動体制の整備は品質向上による船体損傷の減少のメリットばかりでなく、寸法精度の向上によって手直し工事や誤作処理のための工事量が減少し、工数節約によるコストダウンをはかることが可能となる。

注:データの収集や分析及び対策については、学資を指導書の「QCとは」を参考にして下さい。

 

 

 

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