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1.6.2 船殻の品質管理と特徴

船殻工事の品質管理は、船体として必要な最終品質の確保と建造過程における無駄な作業の排除である。このためには、正しい作業を行い品質を管理し、手直し工事の減少をしなければならない。船殻工事での品質向上には、特に溶接継手品質の向上が大きく影響を持つ、突合せ継手や、T方継手のギャップ量に影響されるのは当然である。船殻工事の良否は次の工程である艤装工事に影響が生じるから、最終品質の向上維持のためにも、基礎がためが大切であることを認識することである。

(1) 船殻工事の特徴

船殻工事は、多種少量生産形態の製造作業であり、その作業工程、作業職種が多いこと、及び、船殻独自の形状、構造を有することなど、その特徴にしたがって、品質管理活動の形態も独特のむずかしさ、また単純さが生じるわけである。

(a) むずかしい点としては、

・曲面が多く形状の把握が困難である。

・加工部材の種類が多い。

・部材重量が大きく取扱いに不便である。

・部材の形状が大きく、取扱いおよび計測がしにくい。

・ガス切断、溶接、歪取りなどの熱影響で部材に変形を生じる。

・人的作業が多い。

(b) 単純な点としては、

・形状の簡単なものが多い。

・使用材料が鋼材のみである。

・部材の多くが加工度が低い。

・許容される絶対誤差が大きい。

船殻工事は罫書から船台搭載までの溶接過程で、最終工程に近づくにつれて部材形状の誤差変形が累計される。したがって、前の工程での品質維持は後工程である船台および地上組立における手直し工事の修正を省くことが必要なので、各工程で確実に品質を保証することが重要である。

 

1.6.3 艤装の品質管理と特徴

艤装工事の品質管理は、早期の段階の事前検討や作業基準の整備を行い工程計画の一貫として忠実に実行することである。また、適切な設備や冶工類を用意位ることも重要である。

諸テストの結果が満足なことは必須であるが、テストに至る過程にこそ、船主に引き渡した後の品質を保証することが要めである。

 

 

 

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