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一方、距岸200NM以遠の海域を航行する船舶は国際的に要求されている96時間待ち受け、8時間送信の容量をもつSARTを備える必要があろう。

なお、遠距離における一般船舶の海難の発生頻度は低いので、一般船舶と漁船とに分けて累積相対頻度分布関数F(x)を計算すると、一般船舶の累積相対頻度は一段と低くなる。

年間要救助海難船舶隻数を仮定して、累積相対頻度分布関数F(x)をかけると、距岸X海里以上の年間要救助海難船舶隻数が容易に推算できる。

例えば1980年代の後半で年間要救助海難船舶隻数を1700隻と仮定すると、100NM以遠、200NM以遠、300NM以遠、500NM以遠の推定年問要救助海難船舶隻数は、図5.3.1-2から累積相対頻度分布関数の値を読取り、1700隻を掛けるとそれぞれ43、22、15、11隻となり、表5.3.1-2の数値と通常の誤差範圏内に有るとみなせる。

ただし、誤差は事象生起がポアソン分布に従うものとする。

他方、要救助海難が発生してから海上保安庁が関知するまでの時間Tnの累積相対頻度分布関数F(Tn)を計算して表5.3.4に示す。データはEPIRB搭載船舶に限られていないので、関知までにかなりの時間を要した事例が少なくない。

 

表1-4 発生〜関知までの時間Tnと累積相対頻度分布関数F (Tn)

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(備考1987年は台風12号による遭難のため関知まで1日以上かかった海難が多かった。)

 

表1-4を用いて、「発生〜関知までの時間Tn」と「累積相対頻度分布関数F(Tn)」とのの関係を両対数グラフで表したものを図1-3に示す。ほとんどの場合十数時間で関知される。

図1-3から1980年代後半では、ほぼ16時間(90%)、30時間(95%)、100時間(99%)と推定される。

関知するまでに多くの時間を要し左件数のデータを収集し利用できればさらに正確に推定できる。

 

 

 

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