日本財団 図書館


5.3 小型軽量化の検討

5.3.1 海難発生の現状調査

SARTの小型軽量化には、内蔵する電池の容量の設定が大きな要素となる。海難の発生から発見救助までの最大所要時間を長く設定すれば、それだけ大型の電池が必要になる。海難の発生の実態から、SARTの適当な動作時間を考察し、電池の小型化について検討した。

まず、海難が発生してから救助されるまでの時間を調査した。新生丸の海難事故(平成11年1月)のほかに6件ほどの資料が収集できたが、他に適当な資料は得られなかった。

そこで平成元年から平成10年までの距岸別要救助海難船舶隻数に関する資料を海上保安白書から引用し、適当な動作時間の見直し検討のための基礎的な資料とした。

距岸別要救助海難船舶隻数に関する資料の解析結果を資料1に示す。

 

5.3.2 電池容量の検討

昨年度の本調査検討会の審議を踏まえて、小型軽量化のためには電池の小型化が不可欠であり、そのためには連続動作時間についても現行SARTの96時間待ち受け/8時間連続送信の基準を見直して、48時間待ち受け/8時間連続送信の小型軽量SARTを調査検討し、小型化の目標を現行SARTに比べて、縦方向の寸法を約1/2に質量を約2/3とした。

電池容量を検討するにあたって、SARTの電源として使用する場合には以下に示す電池の性能が重要となる。

 

5.3.2.1 動作温度範囲及び保存温度範囲

SARTは船舶が遭難した場合に海上で使用する機器であり、船舶が航行する世界中の海面の温度に対して確実に作動することが求められ、現行SARTの型式承認基準の温度に関係する基準・試験方法等は表5.3.2-1のとおりに定まっている。

 

表5.3.2-1 SART型式承認基準抜粋

020-1.gif

※1 時間比1対9

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION