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しかし本船に搭載したレーダーの出力は60kWであり、スプリアスが−40dBあると仮定した場合、出力6Wのスプリアスが放射されることになる(計算によると暴露甲板上の電界強度はレーダーと計測用アンテナの距離を20mとした場合、116dBμV/m(注)となる)。このことから暴露甲板上ではスプリアスの影響によるレーダーに同期したノイズが計測されたものと思われる。

 

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(150kHz〜30MHz)

この周波数帯は中波、短波等の放送波が多く存在しているため暴露甲板上の電界強度が強く、IEC60945の限度値を約30dB超えている周波数が150kHzから22MHzの間で多数見られた。またSバンドレーダーのスプリアスも出ていたが、操舵室内ではIEC60945の限度値を超えている周波数はほとんど無かった。

ただし、20MHzの周波数については暴露甲板上よりも操舵室内の電界強度が大きく、IEC60945の限度値を超えていた。この周波数については操舵室から発生しているものと考えられる。

EMIプローブで簡易測定をした結果、操舵室内のMF/HF無線装置の液晶表示器と船舶無線電話の液晶表示器から発生していることが確認されたが計測システムで得られたデータからは発生源を特定することができなかった。

今回計測した船舶は商船として航行しているため、航行の妨げにならないような範囲で計測を行った。ノイズの発生源を特定するためには、機器単体で電源をON-OFFさせる等の作業を行い、その時の計測データから判断することが必要であると思われる。

 

(30MHz〜1000MHz)

この周波数帯においても放送波、無線電話及び携帯電話等が数多く存在するため、暴露甲板上と共に操舵室内にもこれらの電磁波が侵入し、IEC60945の限度値を超えた周波数が多数あった。

しかし航行中において比較的陸から離れたときの電界強度は、操舵室内においてIEC60945の限度値を超えた周波数はほとんど無かった。従って操舵室内の機器から発生するノイズは比較的小さく、電磁環境は良好であった。

 

(156MHz〜165MHz)

この周波数帯においては操舵室内の電界強度分布を計測し、その最大位置を求めた。

 

 

 

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