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2 出火原因

平成11年中の出火原因別の出火件数は「放火」が7,481件で前年に比べ187件増加しており、全火災の12.8%を占め3年連続して第1位となった。なお、「放火の疑い」によるものは5,464件で、前年に比べ291件増加し、「放火」及び「放火の疑い」を合わせると1万2,945件で、全火災の22.1%を占めている。

出火原因の第2位は「たばこ」の6,415件で前年に比べ725件増加しており、次いで、「こんろ」の5,530件、「放火の疑い」の5,464件、「たき火」の3,420件、「火遊び」の2,254件、「ストーブ」の2,002件の順となっている。

 

3 損害額

平成11年中の火災による損害額は、1,512億円で前年の1,460億円に比べ52億円増加している。

また、火災1件当たりでは、258万円となっており、前年に比べ10万円減少している。

 

4 出火原因別損害額

放火による損害額は、135億9,945万円であり、前年に比べ44億7,818万円(49.1%)増加している。放火の疑いによる損害額は94億7,204万円で、前年より11億8,330万円(14.3%)増加している。この結果、放火と放火の疑いを合わせた損害額は230億7,149万円で、前年に比べ56億6,148万円(32.5%)増加している。

 

5 建物火災

平成11年中の建物火災の出火件数は3万330件で、1日当たり91件、16分に1件の割合で出火していることになる。

また、建物火災の主な出火原因は、「こんろ」によるものが5,439件と最も多く、次いで、「たばこ」の3,746件、「放火」の3,650件の順となっている。

なお、「こんろ」による火災のうち、4,004件が「消し忘れ」によるもの、「たばこ」による火災のうち、1,361件が「投げ捨て」によるものとなっている。

建物火災の出火件数を火元建物の用途別にみると、住宅火災の出火件数が1万8,914件と全体の56.7%を占め、次いで複合用途の建物、工場・作業場、事務所の順となっている。

 

6 火災の傾向

この10年間の火災の動向をみると、出火件数においては、平成6年以降6万件を超えていたが、平成10年には、5年ぶりに5万件台に減少し、平成11年においても、増加はしたものの5万件台で推移している。

火災による死者は、平成6年以降全体的には増加傾向にあり、平成11年は、阪神・淡路大震災が発生した平成7年に次いで、戦後2番目となっている。平成11年中における火災の状況をみると、前年に比べ、出火件数、焼損棟数、建物焼損床面積、死者及び損害額の全てにおいて増加している。

また、放火自殺者を除く死者数のうち、高齢者及び乳幼児の死者の割合は、前年に比べ乳幼児については若干減少したものの、高齢者については増加し、依然として高い状況が続いている。

 

火災の傾向

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7 火災による死者の状況

平成11年中の火災による死者数は2,122人で、前年の2,062人に比べ60人増加しており、1日当たりの火災による死者数は、5.8人(前年5.6人)となっている。

また、このうち放火自殺者数は776人であり、前年に比べ80人減少した。

8 住宅火災による死者

住宅火災による死者1,228人のうち、放火自殺者、放火自殺の巻き添え及び放火殺人(以下「放火自殺者等」という。)247人を除く失火等による死者は981人となっており、前年に比べ116人増加した。

また、このうち65歳以上の高齢者は549人(56.0%)と半数を超えている。

住宅火災による死者(放火自殺者等を除く。)について、年齢階層別に人口10万人当たりの死者発生数をみると、年齢が高くなるにしたがって著しく増加しており、81歳以上の階層では、最も低い、21歳から25歳の階層に比べ約41倍となっている。

(文責 日本防火協会)

 

 

 

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