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講演要旨

『気象と防災』

(元)気象庁天気相談所長・気象キャスター 宮澤清治(みやざわせいじ)

 

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今年は全国的にみて雨が多く、昨日は1時間で80mm、これは観測以来2番目の記録でございまして、その原因には地球の温暖化が関係しているのではないかと思います。また、雷も多く、ひょうの被害が予想されます。

今日は、これらの異常気象やその災害の特徴について話をしたいと思います。(以下、要約)

 

1. 異常気象とは

1] 一般に過去に経験した気候から大きく外れた現象で、人が一生の間にまれにしか経験しない現象。具体的には過去の30年間に1回程度で発生する現象。

2] 大雨や強風などの激しい数時間の気象から、数か月も続く干ばつ・冷夏などの異常天候までを言う。

 

2. 気候と災害が変わる

(21世紀の気候予想)

1] 地上気温…100年後には、世界全体で約1℃から約3.5℃上昇する。特に北半球の高緯度で昇温が大きい。日本付近の冬の季節風が弱まる。

2] 降水量…激しい降水が増加し、一方で異常少雨が増加する。

3] 海面水位…100年後には、世界で平均して約15cmから95cm上昇。

4] 異常気象…異常高温、集中豪雨または異常少雨が増加する。

5] 災害…干ばつと山火事、水害が増加し、高潮や津波の危険地域が拡大する。

注1) 温室効果ガス(二酸化炭素、フロン、メタンなど)の排出がこのまま続くとした場合の気候の見通し。

注2) 1998年の世界の年平均地上気温は過去119年間で最高、また同年の日本の年平均地上気温は過去101年間で最高だった。

 

3. 近年の気象災害の特徴

1] 都市災害…1982年7月長崎豪雨。1993年8月鹿児島豪雨。1998年8月新潟豪雨・同9月高知豪雨。1999年6月福岡豪雨。

2] 土砂災害…1983年7月山陰豪雨の山・がけ崩れ。1988年7月広島・加計町の土石流。1997年7月鹿児島・出水市の土石流。1998年8月栃木・福島県境の土石流。1999年6月広島県の土砂崩れ。

3] 洪水災害…1981年8月石狩川の大洪水。1986年8月茨城・那珂川、宮城・吉田川の洪水。1998年9月茨城・那珂川の洪水。

4] 暴風災害…1991年9月台風19号。1998年9月台風7号。1994年2月の爆弾低気圧による北日本の暴風。

5] 高潮災害…1991年9月台風19号による瀬戸内海西部。1999年9月台風18号による熊本県不知火町。

6] レジャー災害…1987年8月高知県東洋町のサーファー雷撃。1997年9月茨城県のゴルファー雷撃。1999年8月神奈川県玄倉川のキャンプ場水難事故。

 

 

 

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