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No.13/36

 

船がはこぶI

 

1. コンテナ船

コンテナ船とは、1950年代の後半から登場した貨物船で、コンテナと呼ばれる鉄やアルミでできた金属製の箱に貨物を入れて運搬(うんぱん)する船のことです。コンテナ船の出現は近代海運史(かいうんし)における最大の革命ともいわれ、従来の荷役(にやく)方式を一新しました。コンテナ船が出現するまでの貨物の揚げ降ろし作業は、貨物ごとに異なった箱詰めや梱包のため荷役効率が悪く、多くの時間が必要でした。コンテナ船の場合は、各種の製品や材料、雑貨、食料品などの貨物を簡易な梱包のままで、簡単で安全にそして従来の貨物船に比べ約1/10の時間で荷役作業を行うことができるようになりました。さらに、コンテナにはそれぞれ番号がふってあるので中身や行き先を間違えることもありません。また、コンテナはどこの国に行っても同じ荷役装置が使えるように、その大きさが国際規格(長さが20フィートと40フィートの2種類があり、高さと幅は約8フィート)で統一されていますが、中に積み込む貨物の内容によってそのタイプにはいろいろな物があります。一般的に使われているのはドライコンテナと呼ばれる物で、一般雑貨の輸送に広く使われています、その他には、電源に接続する冷凍コンテナ、液体の貨物を入れるタンクコンテナ、天井の無いオープントップコンテナ・側面と天井が無いフラットコンテナなどがあり、貨物の内容に合わせて使い分けられています。これらを組み合わせて象などの大きな動物を運んだりもします。コンテナの積み降しには、埠頭(ふとう)に設けられたガントリークレーンというコンテナ専用のクレーンを使います。これは1基でコンテナを毎時20〜30個扱うことができます。ガントリークレーンは横移動することができ、キリンのような首をコンテナの高さに合わせて水平に下ろしてコンテナの積み降ろしをします。今まで天候の影響などもあって1週間前後かかっていた作業日数が、8時間前後にまで短縮されています。

 

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2. オイルタンカー

オイルタンカーは、原油を産出国から精製基地まで運ぶ船です。原油を1度に大量に積むと経済的なのでどんどん大型化が進みました。近年海難による原油の流出事故が続いたため船体構造については厳しいルールが設けられました。オイルタンカーや、その他の可燃物を運ぶ最近の船のブリッジは後部に設けられています。これは、船体が大きいので機関部とプロペラの距離を短くしたり、居住区やエンジンコントロールルーム、ブリッジを一つにまとめ電気や水道のラインを縮小し無駄を省いた造りであるとともに、原油の入ったタンクと機関部の間に清水タンクや汚水タンクを設けることにより、安全性を高めるものです。また、居住区出入口のドアの横には体内にたまった静電気を取る金属板があったり、底に金具を打った靴で歩くのも禁止になっていたりと火災を防ぐ心配りがされています。大型オイルタンカーの内部は、船体動揺による原油の移動が起こらないよう、隔壁(かくへき)で縦横に仕切られています。タンクを分けることで、万が一海難事故にあったときに流れ出る油の量を少しでも少なくするためでもあります。近年の原油流出事故をふまえ、タンカーの原油流出防止のため考案された船体構造の一つがミッドデッキタンカーで、これは石油の積まれたタンクを上下に分けて下のタンクから甲板(こうはん)まで空気穴が通っていて、2つのうち下のタンクが喫水線(きっすいせん)よりも下にあるのでタンク内の油の圧力は周りの海よりも低くなっているため、もし船底に穴が開いても下のタンクに流れ込もうとする海水の圧力の方が海に流出しようとする油の圧力よりも高いので油は空気パイプをあがり圧力が均衡するので、船外への油の流出が防止される仕組みです。

 

 

 

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