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とりわけ「日米の共通点と相違点」をめぐって、「日本でもアメリカでも神と自分たちの国は特別な関係があるという考え方」の共通性を指摘し、「アメリカ型個人主義」の深刻な問題点を鋭くみきわめて、ナンバーワン思想の克服を力説されたのには共感するところが多々ありました。

「二十一世紀に成功する社会のモデルは一つではありません、それぞれの社会が自分の道を探さなければなりません」と前置きして、「各社会は偉大で普遍的な宗教的伝統がもつ倫理的、精神的源泉を活用することができるはずです」としめくくられた、その言葉には、大きな示唆が含まれています。そしてベラー先生は、心学には私たちの学ぶものが今もあり、今もなお心学には発言権があると結ばれました。

もっとも、江戸時代のいわゆる「鎖国」は完全な「鎖国」ではありませんでした。徳川幕府みずからが「通商」の国としてオランダと中国(清)との貿易を行ない、「通信」の国として、朝鮮・琉球との間で貿易と外交を行なったように、完全な「鎖国」体制を施行していたわけではありません。

 

 

 

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