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世界の人々が心配し、共同で対処しようとしている問題に積極的に貢献する開かれた国民として、世界の中で生きていかなければならない。この時期を逸すると、わが国は再び数十年後に破滅のときを迎えるのではないかと私は危倶するのである。(『新しい日本 新しい経営』より)

 

真の民主主義国・日本に

先に“絆”と“橋渡し”という社会資本、そして橋渡しを欠いたグループ内の絆が社会全体の中で孤立や軋礫(あつれき)を生み出してしまう危険性についてお話ししましたが、私が感銘を受けるのは、稲盛氏が日本という国にある排他的なグループ社会や愛国心がもたらす危険性をはっきりと認識していることです。そして他国との開かれた関係の中で、開かれた社会をつくっていくことを強く求めているのです。こうした提言をする稲盛氏ですから、民主主義の強力な推進者であっても不思議はありません。稲盛氏の言う民主主義は、アジア特有の権威主義をわずかにカモフラージュした見せかけの民主主義ではなく、世界一般に言う本当の意味での民主主義です。

 

 

 

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