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つまり再生可能である限度を超えた資源の利用はするべきではなく、「経済活動の飽くなき拡大を抑制」して「生きとし生けるものとの共生」を学ぶべきだということです。このように、大きな意味での倹約は、単に「経費を最小に抑える」だけに留まらず、経済的な繁栄が最終的な自己破壊につながらないように、社会全体に対して方向性を指し示すものとして機能するのです(参照:For People and for Profit:邦題は『新しい日本新しい経営』)。

 

京セラの基盤となる独自の倫理観

伝統的に商人が重んじてきた勤勉、誠実、倹約などの価値を土台として、稲盛氏はそれらの考えをさらに発展させました。しかし稲盛氏は本当の意味での改革者であり、日本の歴史や伝統を堂々と批判することもありますし、日本ではまだあまり一般的ではない考え方などからも学ぶ姿勢があります。稲盛氏の自由な精神と革新的な考え方は梅岩に通じるものがあります。もっとも、稲盛氏は梅岩が思いもよらなかったようなアイディアを考えついたりしていますが。鹿児島県生まれの稲盛氏は、決して順風満帆な人生を送ってきたわけではありません。

 

 

 

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