日本財団 図書館


「売上げを最大に伸ばし、経費を最小に抑える」ことが、ビジネスを成功させるための基本的な考え方だと稲盛氏は言います(『成功への情熱』)。さらには他人との関わり合いの中での自己犠牲や無欲を常に強調し、それが永続する信頼を勝ち取ることを教えます。稲盛氏は京セラがアメリカのエアロボックス社(後にAVX社)と取り引きをしたときのことを引き合いに出し、この原理を説明しています。京セラは、AVX社からそれまで両社の間で取り交わされていた契約の破棄を依頼されたとき、法的な行使権に訴えることを決してしませんでした。その後、京セラはAVX社を買収したのですが、彼らと非常に公明正大に接してきたために、引き続く両社の融合はとてもスムーズに調和的に進んだのです(参照:Respect the Divine and Love Prople:邦題は『敬天愛人』)。

稲盛氏は昔から商人たちが重んじてきた倹約というコンセプトを洗練させ、現代社会の中に甦らせたのです。稲盛氏は経済行為をする人間―特に大きな力と影響力をもつ者たちは、自己をコントロールする必要があると言います。さもなければ彼らは社会や自然の秩序を破壊してしまうからです。「自然の循環の原理を知る」べきだと稲盛氏は言います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION