田中 本日は、私たちの赤根塾道友会の仲間三人と一緒に東京からまいりました。私たちは、赤根祥道さんという現代禅研究所の理事長を中心としまして、禅の心はビジネス社会にも通ずるということから共に禅を勉強をしている会でございます。この会の中で、現在のビジネス社会の考え方や心の持ち方の原点は石田梅岩にあるということ、江戸時代の士農工商の「商」という道をキッチリと梅岩先生が開いてくださったということを学びました。実は、我々の勉強会が始まってちょうど十年になりますが、その記念の一つとして、石田梅岩先生の顕彰碑を梅岩公園の一隅に作らせて頂きたいと計画しています。顕彰碑の表には、「石田梅岩先生不滅塔」と、そして裏には「先も立ち、我も立つ」という有名な言葉を彫りたいと考えています。この言葉には、ビジネス社会におけるお客さん第一という観点があります。現在でいう顧客満足度を意識していたといえます。ここに、石田梅岩先生の心そのものが生きていると思います。
実は私、学卒後すぐに国家公務員になりまして、その後東京に出て新聞記者とかフリージャーナリストをしていたんですが、ひょんなことでふるさと高槻の田舎に帰ることになりました。ある日の暮れ方ですが、小雪が舞っている中、玄関を叩く人があるんです。ブザーがあるのにと不審に思い、そっといって「どなたですか」と聞きました。すると「石田です」といわれたんです。
