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少子・高齢社会とこれからの運輸・交通

 

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(株)ニッセイ基礎研究所

少子・高齢社会チーム

主任研究員 白石真澄

 

皆様、只今ご紹介いただきましたニッセイ基礎研究所の白石でございます。本日は財団法人九州運輸振興センター創立20周年記念、誠におめでとうございます。はじめに、私ごとですが、もう20年近く持っております花粉症が非常に悪化しておりまして、普段はもっと美声で、美しい顔で登場しているんですが、ここ2ヶ月間で、鼻の皮がもう3枚くらい剥けてしまいました。咳もひどくて、お聞き苦しい点があろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

本日は運輸関係者のプロフェッショナルな方々の前で何をお話していいのか、恐れ多い気持ちでございます。私は今の研究所に入ります前は、百貨店で2年間、新しい店舗づくりの企画をしておりまして、今の研究所に移りましてから11年が経過しました。その間、高齢化とか少子化という冠がつく調査研究、テーマはいろいろですが、高齢者の就労や、子供が少なくなる時代に、どういった住宅や地域の施設をつくるかといった調査を中心に担当しておりますので、今日はその中から、今後の少子高齢社会にむけた交通や地域づくりにはどういうことが求められるのかということをお話したいと思います。

日本の少子・高齢社会というのは、経済成長が鈍るとか、年金や社会保障の若い人の負担が大きくなるという見方、つまり悲観的に捉えられることが多いわけでございますけれども、それは一面的な見方で、必ずしも暗い面ばかりではないと思います。ここにいらっしゃる方もそうだと思いますけれども、今後高齢期を迎えられる方、今の団塊の世代を含む新しい高齢者の方というのは、非常にお元気で働く意欲も旺盛で、やる気も満々で、今までの高齢者の方とはまったく異質です。今後は人口が減り、高齢者が多くなるという量的変化を経験しますが、その中身もガラッと変わり、この質的変化を考慮していかねばなりません。今まで高齢者というのは、ひとくくりで捉えられることが多く、余暇活動でも、温泉、ゲートボール、カラオケといった三種類が代表的でした。しかし、今後の高齢者というのは趣味の面でも非常に多様化します。趣味や生きがいを充実させることで、健康を維持させることができますから、住宅内部だけではなく、地域に社会参加すべく、どんどん外出していただく必要があります。60代では自家用車を運転できても、70代になるにしたがって公共交通機関にシフトしていく場合が多いですし、とりわけ、夫婦2人で暮らしていたときには、夫が車を運転して夫婦で買い物に出かけていたものが、妻が一人になると車の便というのが無くなる場合もある。

 

 

 

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