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新年のご挨拶

 

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九州運輸局長

中西基員

 

明けましておめでとうございます。

21世紀の幕開けの平成13年の新春を迎えるにあたり、謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、九州の運輸行政に関する抱負を述べさせて頂きます。

昨年を振り返りますと、ここ数年低迷傾向にありました我が国の景気は、政府の経済対策や補正予算による財政支出の上乗せ、IT革命の進展に伴う半導体等の需要増、国内の設備投資やアジア経済の復調に支えられた海外輸出の増加傾向を受け、緩やかな回復基調を示し始めておりましたが、最近に至り、個人消費の長期にわたる低迷や公共工事の減少基調もあって、経済の先行きには再び不透明感が増しているように思われます。

九州について申し上げますと、県毎に景況感に差はあるものの、全体としては全国傾向と同じであり、個人消費や公共工事が停滞を続けている一方で、輸出が概ね堅調であるほか、生産活動も電子部品を中心に回復の動きが続いており、先行き一進一退の動きになるように感じられます。

九州における交通運輸についても、このような景気動向を受け、関門港や博多港に出入りする外貿船の船舶積卸実績が好調に推移しており、また、トラック輸送や航空輸送を中心に貨物輸送も一昨年に比べ伸びを示しております。他方、旅客輸送については、少子化に伴う就学人口の減少や景気の低迷に伴い、引き続き減少傾向にあり、依然として旅客運送事業者にとっては厳しい状況が続いております。

政府は、昨年10月に事業規模11兆円程度の新経済対策として「日本新生のための新発展政策」を策定し、また、この政策の柱となる総額約4兆7800億円規模の平成12年度第1次補正予算を昨年11月に成立させるなど、景気回復へのてこ入れに取り組んでいるところであります。また、昨年11月には世界最先端のIT国家となることを目指す「IT基本戦略」を策定しました。現在国会でご審議頂いている平成13年度予算案の早期成立も合わせ、これらの諸施策が効をあげ、日本経済、とりわけ九州経済が力強く回復することを祈念して止みません。

それでは、九州の交通運輸・観光を巡る主な行政課題とそれに対する所感の一端について述べてみたいと存じます。

最初に、規制緩和についてであります。需給調整規制の廃止を柱とした運輸事業の規制緩和を目的とした改正法については、既に航空と貸切バスについて昨年2月、鉄道について昨年3月、旅客船について昨年10月、港湾運送について昨年11月に、それぞれ施行されました。また、乗合バス及びタクシーに関する規制の見直しについても、需給調整規制の廃止を柱とする「道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律」が昨年5月に成立し、来年2月1日に施行される予定であり、両事業についても免許制から許可制に規制が緩和することになっております。

さらに、倉庫業の規制緩和については、昨年3月の「規制緩和3カ年計画の再改定」の閣議決定に基づき、広く外部の意見を聴取するため昨年10月に立ち上げた「倉庫業の規制のあり方に関する懇談会」において、関係者のご意見をお聞きしながら検討が進められているところであります。

九州運輸局といたしましては、地方公共団体や事業者等の関係者と相談しながら、制度移行の円滑化と新たな制度のもとにおいて事業の活性化やサービスの向上が図られるよう、また、改正法の下における生活交通の確保と輸送の安全の確保についても遺漏なきよう努めて参ります。特に、全国の3割を占める離島航路、4割を占める離島航空路、また各県に存在する乗合バスの生活路線の維持対策については、地域協議会や九州地方交通審議会等の場を通じ、関係者の様々なご意見を賜りつつ、具体的な施策を進めて参ります。

次に、バリアフリーについてであります。お年寄りや体の不自由な方であっても健常者と同等に生活し、活動することができる「ノーマライゼーション」社会の実現に向けて、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」、いわゆる交通バリアフリー法が昨年11月から施行されました。駅などの旅客施設やバスなどの車両、旅客船等について、バリアフリー化を義務づけたり促進したりすることを内容とした法律であります。

 

 

 

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