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九州運輪局だより

 

港湾運送業の規制緩和について

 

運輸省は港湾運送事業法の一部を改正する法律を作成し、本年2月に国会に提出していましたが、本年5月11日に成立し、今秋施行されることとなりました。

改正内容の概要は以下のとおりです。

 

(制度改正の内容)

 

● 事業参入規制の見直し

国際海上コンテナ輸送において我が国の主要な12港湾(注)における港湾運送事業に係る需給調整規制を廃止し、免許制を許可制に改める。

この改正によって、一定の基準さえ満たせば、主要12港において港湾運送事業に参入することが自由となり、新たな企業が参入して競争が促進されることを期待している。

(注)主要12港:東京港、横浜港、川崎港、千葉港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、北九州港、門司港、博多港

主要12港で日本のコンテナの取扱量の95%をしめる。

 

● 料金規制の見直し

主要12港における港湾運送事業に係る料金に関し、認可制を事前届出制に改める。

従来、運輸省が料金について適正な利潤と適正なコストが反映されているかについて審査していたが、今回の改正により、事業者が自由に料金を設定することができることとなる。

 

● 上述の規制緩和を実施するとともに、コストを大幅に下回るダンピングが発生するなどの事態を防止するため、以下のような港湾運送の安定化対策(セーフティネット)を設ける。

1 運賃・料金変更命令制度の導入

届け出られた料金が、コストを大幅に下回るものである場合は、運輸大臣は、当該料金について変更命令を行うことができる。

2 労働者最低保有碁準の引き上げ

自らは労働者を保有せずに参入する悪質な事業者を阻止するとともに、事業者の規模拡大による効率化を図るため、許可基準である労働者最低保有基準を1.5倍に引き上げることとする。

 

● 改正法の施行期日

改正法の公布の日(5月17日)から6ヶ月を超えない範囲内で、別に定める。

 

● 参考

1999年6月に出された港湾運送事業の規制緩和に関する運輸政策審議会の答申を実現するに当たって、法律の改正を必要とする点について、今回法改正を行ったものである。

 

「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)の成立について

 

我が国においては、急速に高齢化社会を迎えつつあり、また、ノーマライゼーションの理念の浸透・普及とともに障害者等の社会参加の要請も強まっていることから、高齢者・身体障害者等のいわゆる移動制約者が公共交通機関を利用する場合の身体的負担の軽減を図ることが社会的課題となっています。

このような社会的要請を踏まえて、運輸省、建設省、警察庁、自治省所管の「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」いわゆる交通バリアフリー法が去る5月10日に成立し、今秋の施行を目途に施行規則の制定等の準備が進められています。

交通バリアフリー法の概要は以下のとおりです。

 

● 法律の趣旨

高齢者、身体障害者等の公共交通機関を使用した移動の利便性・安全性の向上を促進するため、

i 鉄道駅等の旅客施設及び車輌について、公共交通事業者によるバリアフリー化を推進する。

ii 鉄道駅等の旅客施設を中心とした一定の地区において、市町村が作成する基本構想に基づき、旅客施設、周辺の道路、駅前広場等のバリアフリー化を重点的・一体的に推進する。

 

● 法律の概要

1 基本方針

国は、公共交通機関を利用する高齢者、身体障害者等の移動の利便性及び安全性の向上を総合的かつ計画的に推進するため、基本方針を策定。

(基本方針の内容)

・移動円滑化の意義及び目標

・移動円滑化のため公共交通事業者が講ずべき措置に関する基木的事項

・市町村が作成する基本構想の指針 等

2 交通公共事業者が講ずべき措置

公共交通事業者に対し、鉄道駅等の旅客施設の新設・大改装、車輌の新規導入の際、この法律に基づいて定められるバリアフリー基準への適合を義務付ける。

既存旅客施設・車輌については努力義務とする。

(基準例)

・エレベーター、エスカレーター等の設置、誘導警告ブロックの敷設 等

3 重点設備地区におけるバリアフリー化の重点的・一体的な推進

i 市町村が、基本的方針に基づき、一定規模の旅客施設を中心とした地区において旅客施設、道路等のバリアフリー化を重点的・一体的に推進するため、基本構想を作成。

(一定規模の旅客施設の例)

鉄道駅については、一日の利用者数が5千人以上であること又は相当数の高齢者、身体障害者等の利用が見込まれること等。

 

 

 

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