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ブレイクタイム

 

男池

 

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今ほど、環境問題が大きな問題となっている時代はないと思う。

特に、飲料水汚染、海洋汚染は人間のみならず、地球上のすべての生物を苦しめています。最近、飲み水が、「まずい」「臭い」といわれており「六甲の水」「くじゅうの水」等々が飛ぶように売れているようです。更に、海洋深層水がマスコミにとりあげられており、「ここまできたか!」という感じであります。

幸いにも、九州は、山々に囲まれ自然に恵まれています。特に、大分県は大分市や中津市の一部の平野部を除くと山と川に恵まれた自然豊かなところです。即ち、田舎であります。今日は、この自然豊かな男池を紹介しましょう。

大分市から、国道二一〇号線を西に向けて車を約一時間ほど走らせると、湯の平温泉を通り、さらに久住方面に向けて直進すると、庄内町「じろそキャンプ場」に到着。

ここは、標高約七〇〇メートルあり、夏はキャンプ場として多くの若人が集ってきます。

周囲を黒岳、平治岳、大船山等々久住連山から流れ出る水は綺麗で、夏でも冷たく途切れることなく流れています。キャンプ場の隣には白水鉱泉があり、多くの「通」の人たちが、ペットボトルやポリ容器に水を汲み、車に積み込んでいました。

この鉱泉は、天然炭酸水であり皮膚病、胃腸病、アトピー等の効用があると、よくなった人からの伝言が、石碑に刻まれています。この鉱泉を後にして、更に、上流に向かって、車を5〜6分走らせると駐車場があり、男池の入り口です。

眼前に黒岳が、そそり立ち、山麓のクヌギ、ナラ類の雑木林、山腹から山頂近くにはブナ、楓類が繁り、秋には紅葉も楽しめるところです。入り口では、おばさんが、一人、一〇〇円の入場料(黒岳男池周辺清掃協力金)を徴収しています。幅二メートル足らずの道に廃材が敷いてあり、歩き易くなっているので、子供でも充分通れます。両サイドには、台風等で倒れた木々がそのままの状態であり、その中を5〜6分も歩くと、ここが有名な男池です。約四メートル四方の水源からは、滾々と清水が湧き出ており、周りの新緑が、やわらかく包みこんでいます。小鳥の声も心地よく聞こえその雰囲気は心洗われるようです。この湧水は、久住連山に降った雨が、一年ぐらいをかけて地下にしみこんで地表に湧出したものらしく、よくみると、大きな杉の木の間には、水神様が祀られています。この生まれたばかりの清水は、小さな流れとなり雨や露、霧とともに小川をつくり、原野を下り麓の人々を潤し、滝をかけくだり、そして、町の人々の生活を守っています。また、人間だけではなく生きているすべての生物が恩恵を受けています。

人間だけの都合でひきおこした、乱開発や大気汚染を反省し、地球にやさしい環境作りが、急務であることを考えさせられたものでした。男池の清水でコーヒーを飲んで、うまかったことはいうまでもありません。是非、みなさんも男池へお出かけ下さい。

九州運輸局大分海運支局

監理課長 佐藤文信

 

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