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(5) 考察

○フェリー事業の需給調整規制廃止を踏まえ、宮崎県の海上輸送においても、航路網の拡充や新船投入も含め、航路全体として最も効率的な航路網の実現が求められる。その際、事業者が企業としての収益性を維持するためには、従来事業者の内部補助によって維持されてきた航路についても、単独で採算を確保することが求められるようになる。

○このため、既存航路においては、各航路毎に採算性を確保できる貨物量を確保し、その維持・拡充に努めていく必要がある。また、船舶の代替時においては、従来のフェリー、内航海運の区分にとらわれず、RORO船やコンテナ船等輸送需要に適した船舶を適切に選択していくことが望まれる。

○労働時間の短縮や地球環境問題への対応に加え、スピードリミッターの装着義務付けやディーゼル車規制の実施は、特積みトラックの幹線輸送や農産物の大都市圏への出荷に対して、大きな影響を与えると考えられる。

○これまでに述べたように、特積みトラックは関東〜南九州の海上輸送における有力な積載貨物として期待される。ただし、特積みトラック事業者の輸送形態は、発地ターミナルを20〜22時頃出発するのが一般的であり、これに合わせて現在のフェリー航路のダイヤを変更すれば、現在フェリーを利用している貨物のうち、畜産品を中心に利用を取り止める貨物が出てくる可能性がある。このため、フェリー航路のダイヤ変更については、こうした貨物がどの程度あるのか、新規に利用が期待できる貨物がどの程度あるのかを慎重に検討する必要がある。

○その際には、1999年に就航した東京〜苫小牧航路の新造船2船(貨物フェリー)が、23時台の出発、20時台の到着というスケジュールを採用していることから、関東〜宮崎航路の検討にあたっても参考になるものと考えられる。

○また、特積みトラックの関東・関西方面と南九州間における輸送は、北部九州のターミナルを経由する場合が多く、宮崎県において海上輸送の活用を考える場合、こうした北部九州経由の輸送形態を変更できるかどうかがポイントとなると考えられる。

 

 

 

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