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【宅配便業者の幹線輸送の概要】(S社)

特別積合事業者である当社の「運行」に対する考え方としては、まず決められた運行路線があって、当社の便はこの路線を定期的に運行することが基本となる。

この路線運行を行うための基本となる拠点がベースであり、宮崎県と鹿児島県には1カ所ずつ立地している。宮崎県のベースは、宮崎県の発着貨物の総合窓口となり、ここで、延岡地域や日向地域向けのローカル運行の子仕分けも行っている。

北海道、沖縄も含め、翌日もしくは翌々日の配送が基本である。幹線輸送は原則として全て高速道を利用している。JR貨物を利用する場合もあるが、福岡〜東京間が中心であり、鹿児島からの使い勝手は良くない。

発荷のうち、貨物量の少ない北陸、中国、四国など向けについては北部九州を接続して輸送することがある。

 

【特積みトラック事業者の幹線輸送の概要】(T社)

関東向け特積みのトラックは、定期運行分も需要変動に伴う臨時便もすべて陸送である。下りの方が貨物量が多いことから、下りの車両の不足分は傭車で対応している。

関西向けは、一部、新門司からフェリーで海上コンテナ(40フィート)を利用している。ただし、海運が利用できる範囲は、北九州〜久留米周辺までであり、それ以外は関西発着でも陸送している。というのは、新門司到着が5:30〜6:00であり、午前中の配達に間に合わせるには、久留米周辺までが限界であるためである。港湾からの距離が長いと、コストも割高となる。

宮崎方面への下りの特積み貨物については、一旦鳥栖の中継センターで幹線運行車の運行を打ち切り、関東・関西・中部等各方面からの貨物を集約して宮崎方面へ発送する。

上りの貨物については、宮崎、鹿児島それぞれで仕立て、鳥栖で中継せずに関西等へ直行するのが基本である。宮崎から、広島、神戸、兵庫、北大阪、大阪、東大阪と順に立ち寄っていく。中部方面については、北大阪で中継する。

 

【総合物流業者(特積みトラック部門)の幹線輸送の概要】(N社)

トラックターミナルについては、各都道府県に1つ以上設置しており、全国計で75ヵ所に及ぶ。

熊本県、宮崎県、鹿児島県の3県を南九州ブロックとして位置付けており、そのうち現状では熊本県を拠点としている。ただし、高速道の整備が進めば、トラックの運用のあり方が大きく変わり、こうした拠点配置の考え方も変わることが考えられるので、宮崎県が南九州の物流拠点として発展するポテンシャルはある。

 

2] 幹線輸送を取り巻く状況

各事業者は、概ね全国翌日配達のサービスを提供する中で、関東〜九州は原則として翌々日配達となっているため、輸送時間短縮ニーズがある。

また、長距離輸送は、労働時間の短縮、地球環境問題への対応、輸送事故の防止等への配慮、燃料費高騰等から、少なくとも自社車両で運転せず、傭車を使うか、鉄道・海運を利用したいという意向を持っている。

 

 

 

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