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5. 下り荷の確保や物流事業を取り巻く状況の変化に対応した海上輸送網の拡充

 

(1) 特積みトラック事業者の動向

1] 特積みトラック事業者の輸送スケジュール

宅配便をはじめとする特積みトラック輸送は、以下のような特性を有している。

・大都市圏以外では概ね各県に1ヵ所程度ターミナルを設置し、各ターミナル間ではほぼ定時定ルートでの幹線運行を行っている。

・発地ターミナルの出発時刻は、夕方まで集荷した貨物をターミナルに集約するため、21時が基本であるが、22時台に及ぶことが多い。

・幹線輸送手段はトラックが基本であるが、特に大手では傭車が中心となっている。また、東京〜福岡等では鉄道も利用されるほか、一部では長距離フェリーも利用されている。これらは、原則として翌日配送、関東〜九州、関東〜北海道等においては、翌々日配送のスケジュールが守れる範囲で利用される。

・関東〜南九州間の幹線輸送体系は、各事業者や上り・下りの別によって形態が異なるが、北九州、福岡、鳥栖、熊本等で中継し、各方面の貨物を積み合わせて輸送する形態を取っている場合が多く、1台の運行車が直行する形態は少ない。

 

【宅配便業者の幹線輸送の概要】(Q社)

全国に70のベースを設置している。ベースの設置については、大都市圏以外は各県1カ所が基本である。

ベース間の幹線輸送については、9割がトラックを利用している。概ね900km以内では翌日配達が基本である。トラック以外では、約束の期日の配達が可能な範囲で、航空、JR、フェリーを利用している。フェリーは東京〜苫小牧、大洗〜苫小牧、八戸〜苫小牧、舞鶴〜小樽などで利用している。幹線輸送の多くは傭車を利用している。

幹線輸送のベース出発時刻は、早くて20時頃、21時台がピークとなる。ダイヤ上は21時までに出発することになっているが、実際は22〜23時頃までかかっている。

 

【宅配便業者の幹線輸送の概要】(R社)

東京から九州向けの貨物は、北九州+大分というように、同一方面の複数の目的地を組み合わせて輸送する。これは、北九州で8割の貨物を卸し、空いたスペースに北九州発大分向けの貨物を積んで走ることにより、東京→大分の1回のトラックの運行で複数の区間をカバーできるので効率的である。ただし、宮崎、鹿児島方面については、東京から1運行で走るには時間がかかりすぎるため、すべて熊本に一旦集約して、運行便を立て直している。なお、東京から九州向けの発送は、効率化を図るため、都内のほか千葉・船橋あたりの貨物も集約して運行便を仕立てている。

九州からの関東向け上り便については、北九州で立て直している。関西向けは貨物量が多いので、南九州からも直行しているはずである。九州は北九州、福岡で全体の約半数を占めているので、どうしても北部九州中心の運行形態となる。

東京〜福岡間ではJR貨物も利用しており、熊本、佐賀あたりまでカバーしているが、南九州はJR利用だと時間的に間に合わない。

 

 

 

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