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1) 移動のしやすさ

移動経路の短さとわかりやすさ、水平移動のしやすさ、垂直移動のしやすさ

2) 案内情報のわかりやすさとソフトの充実

適切な案内情報の提供、内容・表示のわかりやすさ、見つけやすさと位置の適切さ

安心と信頼を生む人的サービス

3) 施設・設備の使いやすさ

利用者の快適性を向上させる施設・設備の設置、近づきやすさと操作のしやすさ

上記の項目のうち、「移動経路の短さ・わかりやすさ」「案内情報のわかりやすさ・見つけやすさ」等は、「移動円滑化基準」では必ずしも明示的に規定されていないため、バリアフリー化を進める際、ともすれば見落としやすい項目と考えられる。しかしながら、これらは、旅客船ターミナルや船内の施設配置計画における動線の最短化・最適化など、健常者も含めた「利用者へのやさしさ」の実現において、極めて重要な点である。

 

4] 高齢者・身障者のさまざまな移動特性・ニーズに配慮したバリアフリー化

高齢者・身障者における移動の制約は、年齢や障害の種類・程度等によって多様である。

乗下船、船内での体調管理・トイレ、港までのアクセス、係員の対応は共通して改善ニーズの強い分野であるが、肢体不自由者では、主に段差等の物理的障壁が問題となるのに対し、視覚障害者では誘導・点状ブロック等の情報提供が重要な点である。また、聴覚障害者では船内係員への依頼のしにくさ、内部障害者では船内での体調管理・トイレが特に問題とされている。高齢者も船内の体調管理・トイレに対する不安が大きい。

バリアフリー化を進める際には、こうした特性や各地域の利用者ニーズを踏まえ、きめ細かな対応を行っていく必要がある。

 

5] 既存船舶・施設におけるバリアフリー化の推進

交通バリアフリー法では、施設・船舶の新設時には「移動円滑化基準」への適合を義務づける一方、既存の施設・船舶のバリアフリー化は努力義務となっている。

このため、既存の施設・船舶においては、次回の更新時までバリアフリー化が進まない恐れもあるが、一般に船舶は十数年ないしそれ以上の長期にわたって使用されることを考えると、既存の施設・船舶においても積極的にバリアフリー化を進めていくことが必要である。

その際には、投資規模や利用者ニーズを踏まえ、優先度の高いもの、すぐにできるものから順次行っていくことが肝要と考えられる。本調査で把握した高齢者・身障者のニーズを踏まえると、既存施設においては以下の各点の実現を目標に取り組むことが想定される。

 

 

 

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