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*船内の段差解消や身障者用トイレの設置等も未対応の場合が多いが、船内の移動やトイレの利用時には、乗下船と異なり人的介助に頼りにくいため、同行者がいない場合、車いす使用者の船内での移動は困難であり、海上輸送の利用自体を断念する要因にもなりうる。

*港までのアクセスについては、バス等のバリアフリー化や利便性が不十分であることから、乗下船や船内移動とともに、移動円滑化の大きな障害となっている。

*ターミナル内では、出入口の段差やドアの開閉しにくさ、発券窓口や記入台の構造などが問題となるが、上記の項目と比較すれば改善ニーズは強くない。

 

<視覚障害者>

*多くのターミナルや船内において、誘導・点状ブロックや点字案内板、転落防止柵等が未設置のため、乗下船や船内移動が視覚障害者にとって利用時の大きな問題点となっている。

*また、港までのアクセスも改善ニーズが強いことから、バスにおける点字・音声情報の提供等が不十分であると考えられる。

 

<聴覚障害者>

*聴覚障害者は、通常の移動には大きな問題はないが、視覚情報提供装置がターミナル・船舶に設置されていないため、放送によって伝達される欠航・遅延等の運航情報を把握できないことや、困ったことが生じた際に船員に依頼しにくいことなどが問題となっている。

 

<内部障害者>

*内部障害者も、通常の移動には大きな問題はないが、船内で体調が悪くならないかという不安を抱えている。

 

<高齢者・身障者全般>

*一般に、海上旅客輸送に携わる船員・地上係員等は高齢者・身障者等に対して誠意を持って応対していると考えられるが、特段の研修等を受けないまま勤務しているため、人によって対応がまちまちであり、場合によっては適切な対応が行われていない可能性がある。

*視覚障害者や聴覚障害者に限らず、高齢者・身障者等全般に対して、施設配置・乗船手続・運航情報等の情報が十分にわかりやすく提供されているとは言えない面がある。

*一般に、利用者ニーズを把握するための窓口がなく、投書箱等がある場合でも意見への対応状況が不明であることから、活発な意見具申が行われにくい。

 

 

 

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