II. 地域社会と市民活動
1. 行政の取組み
狭山丘陵にかかわる自治体は、埼玉県の所沢市と入間市、東京都の東村山市、東大和市、武蔵村山市、瑞穂町の2都県5市1町である。いずれも、都心からほぼ40km圏内に位置しており、都県境は丘陵を南北に二分するように走っている。狭山丘陵のように、多数の行政区に及ぶ里山の保全にとっては、行政の動向は欠かせないものである。そこで、ここでは行政の資料をもとに街区整備と緑地保全の状況を調査した。
1)街づくり
(1)地目別土地利用の現況
丘陵を囲む5市1町の合計面積は17,964haであり、うち東京都側の自治体の面積はそれぞれ1,500ha前後、所沢市はその約5倍(7,199ha)、入間市でも約3倍(4,474ha)の広さがある。
5市1町の地目別土地利用の割合を図II-1-1に示した。
各市町域に対する宅地面積の占める割合は、都心に近い自治体ほど高い傾向があり、里山景観の重要な要素となる田畑、山林を合わせた面積はその逆であった。なかでも、かつて狭山丘陵の谷戸地の代表的な景観の一部であった水田は少なく、現在は小規模なものが10ヵ所あるに過ぎない。この内4ヵ所は学校田や公園の一部として利用されている。