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2. 日本1/0村おこし運動(島取県智頭町)

−住民発意のまちづくりを行政が支援する協働体制が、地域の自立と創意を育てる−

 

(1) 地域の概況

智頭町は中国山地に囲まれた鳥取県東部の最南端にある林業の町。杉(智頭杉)の全国屈指の産地として有名だが林業の衰退とともに過疎化、少子高齢化が進んでいる。

 

人  口:10,082人(人口増減率(95/90):-5.5%、高齢者比率:24.2%)

面  積:224.61km2(可住地面積14.9km2)

就業構造:第1次14.2%、第2次47.4%、第3次38.4%

資料:国勢調査(90・95年)、全国都道府県市区町村面積調(97年)

 

(2) 智頭町の村おこし運動の背景と経緯

○智頭町の村おこし運動は、昭和60年の鳥取国体(わかとり国体)の空手会場に町内山形地区が選定されたのを契機に、地域の住民(当時公民館館長と特定郵便局長)が特産品の杉を活かして国体の参加選手や観戦者への土産物の商品開発(杉の名刺、杉の香りはがき)を手がけたことからはじまり、昭和63年に彼らが中心となって地域住民約30名が「智頭町活性化プロジェクト集団」(CCPT)を結成した。

○CCPTは地域住民による自主的な村づくり活動団体だが、協議の過程で町行政職員も加わり、町と郵便局の共同によりJAや町立病院・開業医、警察署等の協力を得て、毎日の郵便配達を通じて日用品や薬等を配達して独居老人の生活をサポートする「ひまわりシステム」や、全住民参加による行政(県・町)との協働により川を軸とした地域づくりを展開する「サロン方式の川づくり」、以下に紹介する「日本1/0村おこし運動」など、地域住民の主導による行政・住民協働のまちづくりの各種施策を産み出す孵化器としての役割を持つ。

 

(3) 「日本1/0村おこし運動」の概要

1] 「日本1/0村おこし運動」の考え方

平成9年度に町が制度化した「日本1/0村おこし運動」とは、地域の魅力と活力を増大し、持続力を備えるための戦略は、集落の住民自治を高めることからという視点で、住民1人ひとりが自分にはなにができるかを考え、自らが無(ゼロ)から有(イチ)への一歩を踏み出すという運動である。智頭町内の各集落がそれぞれの特色をまず一つだけ掘り起こし、外の社会に開くことによって、集落の誇り(宝)づくりを行う地域住民の主体のまちづくりを実現する仕組みといえる。「村の誇り(宝)」をつくるための基本的な考え方として、3つの柱が示されている。

 

 

 

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