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4] 循環型観光農園を実現

「のどか村」の生産農場で栽培された作物は、味覚狩や摘み取り用として利用されているほか、園内での販売野菜やバーベキュー、レストランの食材としても利用されている。

 

(5) 「農業公園信貴山のどか村」の地域への波及効果

1] 農家収入が4倍に向上

「のどか村」ができる前は農家収入が南畑地区全体で2,000万円程度であったが、現在では約9,000万円が給料、借地使用料などのかたちで地区へ還元。常勤者には35〜60歳までは「のどか村」からの収入で生活できるだけの仕事と賃金を提供している。

2] 新規就農と雇用の場の創出、女性・高齢者の能力発揮、生きがいの場を提供

正社員18名、パート50名のうち、南畑地区内では常勤11名、パート・アルバイト28名の雇用を創出。地区内の常勤者は定年退職後の再就職が主でパートは主婦、繁忙期は子息も動員される。高齢者の持ち込み野菜販売など様々な雇用と現金収入の機会を創出。更に農業大学校卒業生や地元以外へも広く門戸を開放し、農業後継者の養成や非農家出身者の新規就農先としても地域農業に貢献している。

園内施設の接客や地域食材を活用した薬膳料理の調理、自主的に技術を習得して来園者にリース教室の開催、加工食品の企画・生産など地域の主婦グループに活躍の場を提供。高齢者に対しては自家栽培野菜を持ち込み野菜として販売機会(価格は生産者が決定。「のどか村」は20%の販売手数料)を提供している。

3] 耕作放棄地の抑止・有効活用

「のどか村」の敷地(農地、山林等)は全て借り入れで、園内農地は全て耕作されている。栽培された作物は味覚狩、レストランの食材、直売など全て園内で消費されているが供給不足の状況で、将来的に「のどか村」敷地外の4ha余りの農地を「のどか村」が受託管理する計画もあり、地区の農業振興に貢献している。

4] 地域内資源の調達による持続的な農法への取組

園内の土づくりに使用する牛糞堆肥(年6〜8t)は、周辺地域の畜産農家が生産する良質のオガクズ牛糞堆肥を調達しており、地域内資源の有効活用に貢献している。

5] 都市住民に対する農業の情報発信基地の役割

地域の農業者が経営していることを反映し、四季を通じた農業体験や生産物の直売、レストランの食材利用など農業生産に対するこだわりを重視した事業運営を実施。消費者に対する農業のショウウインドーとして都市住民に農業農村の本当の姿を見て、体験してもらうことを念頭に活動しており、実際に都市住民及び小中学校の校外学習の利用も多く、農業教育の場の提供や農業に関する情報発信基地としての大きな役割を果たしている。

 

 

 

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